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脳回路と伝達物質
343243 ミエリン鞘は、絶縁機能より専門回路の形成に大きく寄与しているのではないか?2
 
本田真吾 HP ( 壮年 香川 建築家 ) 19/02/10 PM03 【印刷用へ
5. 脳回路の成長と臨界期

ニューロンは先天的(本能的あるいはDNA的)つながっていくものと、出生後に回路が形成されていくものに分かれる。成長期には、外圧適応に必要な神経をつなぎ強化していき、不要なものは刈り取っていくという過程を踏む。

より具体的には、日本で成人になった場合、LとRの発音を区別する神経回路は形成されず、不要なものとして刈り取られるか他の神経回路に使われる。しかし、思春期前までであれば、英語圏で暮らすとLとRの発音の区別をする神経回路が出来上がり、その後も忘れることはない。また、少初期の視神経と脳との繋がりが出来る時期に、片目を一時的に塞ぐと、目の器官上は正常でも物が見えなくなる。この様な、脳の可塑性が失われ、固定的・専門的回路が形成される時期を臨界期と呼んでいる。

時系列で捉えると、基底核付近の本能に近い部分の多くのニューロンは出生前にミエリン鞘で被覆される。出生後5年位は、大脳皮質のかなりのニューロンは順次ミエリン鞘で巻かれて固定される(それも1000本程度)。そして思春期から20歳ぐらいをかけて、最後のミエリン鞘固定が終了するが、これは、前頭葉にいたるニューロンで、観念機能を駆使した複雑な決断、計画の立案、見通しを立てるなどの高次の判断機能を司っている(ここを壊すロボトミー手術ではこの機能が失われる)。当然全ての神経のつながりが固定されているのではなく、20歳を過ぎても部分的な成長や組み換えはある。

6. 専門回路が形成されて行く過程

以上から類推すると、基底核付近からグリアが脳全体に広がり、架橋をつくりニューロンを導いていく。時系列的には、本能に近い基底核部分は出生前に概ね繋がりも被覆も完成し、出生後は、大脳皮質部分では、未だ被覆されていないニューロンがグリアの架橋を登り、決められた大きな位置関係を形成する。

その後5歳位までに、本能共認に近い部分から、感取した外圧に対する目的ごとに1000本程度のニューロンをグリア(ミエリン鞘とその外側の空隙を埋めるアストロサイト)が束ねて専門回路を形成していく。

そして、高次機能である前頭葉に至るニューロンは、言葉の専門回路が出来た後の思春期から20くらいまでで形成され、観念機能を駆使した複雑な決断、計画の立案、見通しを立てるなど思考ができるようになるのではないか?これで、この時期にグリア細胞の分裂が大きく終了するという事実とも符合する。

また、中枢神経では、ミエリン鞘は軸索の最伸長を阻止する多数のタンパク質を含む。よって、ミエリン鞘はそれまで枝分かれしていたニューロンの軸索を刈り取って束ねる。その後の阻止タンパク質で最伸長を止め、その周りにある他の軸索との信号干渉を防ぎ、他の干渉を受けず独立した専門回路を作るのではないか?つまり、ミエリン鞘は、絶縁機能より専門回路の形成に大きく寄与しているのではないか?

また、ミエリン鞘のオリゴデンドロサイトとその廻りを埋めるアストロサイトは、過習によって断面が厚くなり絶縁効果が高くなる。つまり、アインシュタインの事例のように高度に学習した人間の脳ではグリア細胞が増える。また、この被覆厚により、軸方向の伝導性が高まり、この伝導性を測定することでIQも判定できる。この様な事例から、専門回路の強化が知能アップにつながると考えられる。
 
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