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脳回路と駆動物質
343242 ミエリン鞘は、絶縁機能より専門回路の形成に大きく寄与しているのではないか?1
 
本田真吾 HP ( 壮年 香川 建築家 ) 19/02/10 PM01 【印刷用へ
1. 教科書の挿絵の間違い

有髄神経のミエリン鞘(オリゴデンドロサイトというグリア)の絵を見ると、一本の神経線維に巻きついた絶縁テープのようにかかれているが、実態は、1000本程度の神経線維をまとめて絶縁テープを巻いた構造をしている。

またその他にも、アストロサイトなどのグリア細胞もヒトデ型の太った細胞のように書いているが、今ではその絵より二回りほど大きい、タンポポの綿帽子の様な細い神経繊維が先まで広がっていることがわかってきた。おそらくニューロンも同じで、もっと立体的で細い繊維が今までの絵の先についた構造をしているのだと推定できる。

今まで発見できなかった直接的理由は、染色という加工をしないと、どれが対象細胞かわからないため顕微鏡で判別できず、かつ、そこで染め上げられるのが骨格部分だけであったためだ。現在では、蛍光物質を利用した新しい方法で、上記の様な形状がわかってきたが、もっと本質的には、傲慢極まりない近代科学の思考法の欠陥と言える。

2. ニューロンとミエリン鞘

多くのニューロンは、脳表面の5〜10ミリ程度の部分にニューロン本体と樹状突起部分だけが存在し、グリアの巻き付きはなく、灰白質をしている。それに対して、ニューロン神経の軸索に巻き付いたミエリン鞘(グリア)は脂肪性物質で出来おり、光学顕微鏡で光を当て観察すると白くキラキラ輝く。目視でも白く見え、上記の灰白質とは、はっきりとした境界が目視できる。

大脳皮質ではこの様な構造だが、基底核付近は器官の中心部にニューロン神経が集中して、器官からの出入り口付近だけ露出し神経核として認識できる。神経核も多数のニューロン本体と樹状突起の塊で灰白色に見え、周囲の白いグリア細胞との対比で肉眼でも識別できる。

3. 大脳皮質のニューロンとミエリン鞘の位置関係

大脳表面の灰白質にニューロン本体と樹状突起部分があり、それより下部で基底核付近まではミエリン鞘の巻き付いた軸索が存在する(もう少し上部だけしか軸索は伸びてなくて、基底核の上部付近はグリアだけという説もある)。そして、灰白質の樹上突起は、水平に何層も存在し、後から成長したニューロンほど表面近くに配置される。

それらは、灰白質の帯の中で、脳の表面付近で水平に樹状突起を伸ばし、互いに交信できる。それに対して軸索は、基底核まで縦方向に伸び、ミエリン鞘で1000本ほどまとめて絶縁されており、縦の柱という意味でカラム構造と呼ばれ、基本的に互いに交信ができない。

4. グリアがニューロン同士のシナプス結合=脳回路を決定している

グリア細胞はニューロンより先に発生し、その成長を誘導する(341964)だけでなく、ニューロンがシナプス結合を誘導している。具体的には、シナプス形成には、アストロサイトが放出するタンパク質(今わかっているのはトロボスポンジン)が必要であり、そのアストロサイトはシナプスを流れる神経伝達物質(駆動物質)の強度も制御しているという関係にある。

また、脳内の生きたままの状態での、グリアによるシナプス位置指定までは、測定難易度が高く、まだできていないが、測定が容易な末梢神経の神経・筋肉間のシナプスは、グリア細胞がその位置を決めたり繋ぎ変えたりすることがわかっている。おそらく脳内でもシナプス形成の位置(=繋がり)自体もグリアが司っている可能性が高い。

そうなると、脳回路の繋がりもグリアが決めており、かつ、脳回路の構造やその活性もグリアが決めていることになる。これは、従来のニューロン同士のつながりはニューロンが決めているという説を大きく覆すものになっている。
 
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344013 大脳新皮質と大脳辺縁系をつなぐ神経回路 1 本田真吾 19/03/12 AM00
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