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経済破局は来るのか?
342578 米国株価暴落は2019年秋ごろか
 
匿名希望 19/01/17 PM11 【印刷用へ
吉田繁治氏 ビジネス知識源400号:2019年は、リーマン危機から11年目(前編)リンク 
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■新興国から米国へのドルの還流分は、大半が、自社株買いに使われたという驚くべき事実

【米ドルの本国還流】2018年の第一四半期での、米ドルの本国還流は、3000億ドル(33兆円)でした。原因は、FRBの利上げです。米国の短期金利が上がり、新興国とのイールドスプレッド(比較した金利差)縮小したからです。

年間では、合計4回、1%の利上げでした。1.25%から1%の利上げは、社債の金利や借り入れの利払い額では、1.67倍になるくらい大きい。超低金利下での利上げは、約9年間の超低金利に慣れていた経済、金融、投資家への影響が大きくなります。
年間ペースへの換算では、米国への還流額は、4倍の1.2兆ドル(132兆円)という巨額になります。これが新興国の株価と通貨を暴落させています。米国への還流は、「新興国の株売り+通貨売り=ドル買い」になるからです。

▼自社株買いは年間で1兆ドル(110兆円)という異常な金額
驚くことに、多国籍企業と国際的な金融業が還流させた米ドルで、自社株買いが5500億ドル(60.5兆円)も行われています。
年間実績では1兆ドル(110兆円)の、自社株買い(日本の30倍)。自社株買いは、流通株数を減らす減資と同じです。1株当たりの純利益を増加させます。予想PER(株価/1株当たりの次期予想純益)は下がります。
自社株買いで低くなった予想PERをもとに戻すための買いが入り、株価は上げます。自社株買いが、月平均9.2兆円、1年で110兆円もあったのですから驚きます。

■2019年の、S&P500社の自社株買いは、1兆ドルを超えるか?

2019年の、米国と日本の株価を予想するとき、重要な要素は、2018年の、前年比で2倍になった自社株買い1兆ドル(110兆円)が、どう向かうかです。
このマネーの元になったのは、(1)新興国から還流したドルに加えて、(2)トランプ減税による企業の税引き後の利益(=純利益)の増加でした。
ところが、2018年の史上最大の自社株買いも、相場の底支えをしただけで上げる効果は小さかった。
2018年の、NYダウの2万3000ドルを超えるバブル株価の水準は、前年の2倍の1兆ドルにまで増えてきた自社株買いが底支えをしていたのです。
2019年の自社株買いは、いくらになるか?

▼(1)レパトリ法(愛国法)による、海外投資マネーの本国還流分の減税額。2016年までは、海外で上げた利益を国内にもってくると、課税率は35%でした。トランプ大統領は、1980年から2017年の、海外利益の、国内への還流に対して8.5%〜15.5%に下げる大きな減税を実行しています(2017年)。2018年以降の分は、課税がゼロ%ですが、27年間の累積利益のほうが、圧倒的に金額が大きい。このレパトリ法が促した、ドルの国内還流額は、2019年は減少します。

▼(2)短期金利(FFレート)の上昇による社債金利の上昇は、社債での資金調達を減少させます。社債発行で調達したマネーで、自社株買いする企業も多かったのです。

▼(3)世界経済の成長率の低下は、輸出が減る中国と、輸入が減る米国で、もっとも大きくなります。IMFは2018年4月には、2018年と2019年の世界経済の成長を3.9%と高くしていました。ところが昨日、米中貿易戦争の影響をある程度は織り込んで、世界銀行が出した予想は、2.9%と、IMFより1ポイント低くなっています。
当方は、実際には、複雑系の期待の経済では「波及が波及を加速する働き」があるので、もっと低くなると見ています。
世界GDPでの、増加率の1ポイントの低下は、特に、中国企業と米国企業の利益を、その何倍も低下させます。米国企業が自社株買いの原資としてきた「税後利益」は、相当に減少して行きます。

【減速する世界のマクロ経済】18年8月の米国の実質経済成長は3.4%と高かった(GDP額は18.7兆ドル:2057兆円)。同じ時期の中国は、6.5%の実質成長です(政府の公式発表:2%程度は嵩上げされています)。
マクロ経済の実績数値(GDP、貿易、物価)には、トランプ関税の影響は、まだ出ていません。2019年の6月くらいからは、出始めるでしょう。
企業の利益成長という面からも、米国の自社株買いの増加はあり得ない状況になっています。

■S&P500社の自社株買いは、1兆ドルからは大きく減少(2019年:暦年)

以上、3つの要素から、2019年3月ころからは、2018年(暦年)の1兆ドル(110兆円)の自社株買いが増えることはあり得ない。
2019年は、自社株買いと、企業利益の好調という要因からの、米国株の上昇はなくなっています。2019年秋に、米国株の大きな下落(−20%以上)になる可能性が高くなっています。20%の下落は、2018年10月初めの高値からは、35%くらいは下がった水準でしょうか。米国の株
式の時価総額3000兆円からは、約1000兆円が失われます。金融危機寸前の水準でしょう。

リーマン危機のときの、64%のスケールの下げになります。
リーマン危機のときと事情が異なるのは、2008年から2009年はFRBが、緊急の量的緩和(3回のQEの初回)として、1兆7250億ドル(190兆円)の緊急資金供給を、金融機関に対して行えたことです。政府も出資をして、金融機関を救済しています。

ところが2019年のFRBには、これを行う信用の余力は乏しい。2.5%の短期金利を1.5%に下げることくらいしかない。そのため、株価の損失では準金融危機から本格的な危機に発展するリスクを抱えています。
 
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