この記事の読者は累積13879人です。
 
経済破局は来るのか?
340640 米国株、日本株、通貨が連動して動く理由
 
匿名希望 18/11/07 PM05 【印刷用へ
吉田繁治氏 ビジネス知識源  393号:米国株、日本株、通貨が連動して動く理由(2)
リンク 
----------------------------------------------------
下がった米国株に連動して、なぜ瞬間に日本株も下がる傾向があるのか。
日本の株価が上がるとき、同時に円安(ドル高)になり、下がるときは円高(ドル安)になるのはなぜか。経済紙の解釈が間違ったものなので、必要な知識として書く必要があると思いました。

【FRBの利上げの効果ではない】FRBの議長が、18年9月末に「(多数派の事前予想通り)、短期金利を0.25%上げた」という事実によって、株価が下がるのではない。

【口先介入の効果】「2019年も、3回の利上げをする予定」と、FRBのパウエル議長が言ったから、レポ金融の減少メカニズムが一層大きくなることが予想されて、米国株が売られ、下がったのです。
原因は、来年の金利の上げを、FRBが自己予想し、市場に向かって発言したからです。なぜこんな自己予想をして、投資家に向かい、言ったのか。

法律家のパウエル議長が知っているかどうか、分かりませんが、2015年から、米国FRBは、マネー量の操作(増刷)から、イールドカーブ・コントロールに手段を変えているからです。

【利上げの理由】2018年の、株価が高い米国にとってのイールドカーブ・コントロールは、簡単に言えば、「将来の金融危機を生むことが確定している株価バブルを生まないように、金利を高めに調節すること」です。
市場の金利の調節には、中央銀行の信用創造により、国債を売買するマネー額を大きくできることを通じて、「金利=国債価格」を誘導できるFRBが、来年の金利予定を言えばいい。
これがFRBの信用を使った、口先介入です。信用とは、「言ったことは実行する」と市場から思われることです。

(注)日銀の黒田総裁の口先介入は、あまり効かなくなっています。将来の予想を言わず、2013年4月から5年間も続けて公言していた2%のインフレ目標達成の失敗と、出口政策に言及することもなく、官僚の無謬神話を守るためか、黙って、2018年度には、80兆円だった国債の買いを40兆円に半減しているからです。
黒田総裁は、株の投資家から、言葉(将来を言うこと)の信用を失っています。未来は言葉でしか言えません。このため、日銀は「市場との対話を行うべきだ(内容は口先介入)」と、表明しているのです。

【金利と国債価格への口先介入】言葉が市場に信用されるため、パウエル議長が、2019年には3回の利上げをする予定という発表をしたのです。この言葉で、投資家の3か月後から6か月後の金利予想で、更に上がると予想する人が増えました(金利が上がると、価格が下がる米国債は売られて下落)。

来年の利上げで、多くの投資家から株が売られるだろう。売られて下がれば、今の利益がなくなる。多くの人がまだ売らず高いうちに売る。
これが、10月10日にヘッジファンドに起こったことでした。ヘッジファンドが、大量にHFT(プログラム化された超高頻度売買)で瞬間売りを続けたので、5%以上、下がったのです。その後も、ダウは8%下げた水準の上で、高い変動率を示しています。日経平均は、10月初めの2万4245円から2万1149円へと、米国株より大きく、3096円(13%)下落しています(10月26日)

■日本株が上がるとき、同時に、円安になることが多い理由

「日本株が上がるとき、同時に円安になることが多い理由」は何かという質問が多数来ます。
これは、リーマン危機以降の、日本の株価と円の変動の、底流の動きを作っている問題です。

▼(1)円の先物価格と先物売り
「円先物売り」は、空売りのように、限月(清算の期限)までの円先物価格で売り、限月までに反対売買をして、清算する取引です。
円先物売りでは、円安になると、高かった先物価格で売って、安い価格で買い戻して清算するので、「先物売りの価格−買い戻しの価格」の利益が出ます。

▼(2)ヘッジファンドが行うヘッジ取引
ヘッジ取引は、反対の値動きをする傾向がある金融商品を組み合わせ、リスクを減らして投資するポートフォリオ(分散投資)です。
ヘッジファンドがドル圏から、日本株を買って上がったときは、円安になると高くなったドルから見た円株の値上がりの利益が減るので、上記のように、円先物を売ってドルを買い、円安のときの為替差損を防ぐ(ヘッジする)ことが多い。
この「日本株買いと円先物売り」が同時に行われることが、日本株が上がるとき円安になる原因になっています。

【円安で輸出の利益が増えるから、株価が上がるのではない】メディアや新聞で言われるように、「円安なら輸出が増え、東証で50%を占める輸出が多い企業の利益が増えるから、日経平均が上がる」という理由ではない。
日経平均には、ユニクロやニトリのように、円安(ドル高・元高)が不利になる輸入企業分も、ほぼ等分にあるからです。それに、2011年の3.11(東日本大震災)以降は、輸出が増えず輸入が増えて、均衡することが増えています。貿易赤字の月も目立ちます。

株価上昇と、瞬間的な同時に起こる、(短期の)円安で、外為相場の変動より、はるかにゆっくりした取引である輸出が、増えるわけではない。
外為市場で生じる、短時間の円安や円高は、1か月後の輸出入とは無関係です。
消費を含む、日本経済全体にとっては、本当は、海外から買われて高いスイスフランのように円高がいい。海外に、高くなった輸入代金として、日本の所得が海外流出しないからです。
100%輸入の原油高が、所得の流出を招き、日本経済を不況にすることからも、円安のマイナスは、分かるでしょう。日本の輸入では、必需のエネルギーや資源が多く、円安になっても減らないのです。

輸出入の会社は、普通、ドルや円の先物を買っているので、今日の「円/ドル相場」は、その後3か月から6か月の輸出入の増減には、無関係です。わが国は、小泉政権から政府を先頭に「円安幻想」にかかっています。円が安いことが日本経済にとっていいという錯覚です。通貨が安いことが、輸出企業、輸入企業がある国の経済全体に、いいわけがない。
 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_340640
  ※トラックバックは承認制となっています。

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献


『るいネット』は、45年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp