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生物学を切開する
335715 生命・細胞・血球の起源B−2
 
本田友人 ( 32 千葉 会社員 ) 18/05/17 AM00 【印刷用へ
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【7】細胞生物学の提唱

 @細胞と生物学

 細胞は生物体の構成単位であることは周知の事実です。しかし、生物学研究者のなかには細胞の構造や機能をほとんど考慮することなく、非常に狭い分野の研究に専念する人や、従来の細胞学を鵜呑みにして、その上に自らの研究をむやみに積み重ね、いわゆる定説に当てはめようと努力している人が余りにも多いようです。誤らない生物学は正しい細胞観を基盤としなければならないのに、どうしても前述したような生物学的傾向が多くなっている理由には次の3項目が考えられます。

(ア)生物学の専門化…研究者は分科に分科を重ねた狭い専門的な分野にたてこもり、自分の研究領域を明確に区分し狭く局限された自分の分野を一歩も出ないことが、立派な研究者の態度であると考えている向きが感じられます。

 科学の進歩とともに研究者の範囲や研究方法が拡大し複雑になり、研究の専門化は実際上のこととしてやむを得ないことでしょう。しかしそれが行き過ぎとなり、またそれが正しい方法だとされ、他を顧みることがなくなると、部分にとらわれ全体との繋がりを忘れがちになります。

 限られた専門分野のなかで単に事実を記載するには余り問題はないかもしれませんが、生命現象の神秘を探求しようとするならば、生物学の諸分科はもちろん、さらに諸科学との繋がり、及び方法論への再検討が行われない限り、妥当な判断を下すことはできません。

 生物学の出発点は細胞です。この細胞に関する正しい概念をもち、生物諸科学を有機的に関連づけ新しい生物学を構成すべき時はもう来ています。

(イ)既成学説に疑問をもたない…既成学説、いわゆる定説に疑問をもつことなくそれを信頼していることも挙げられます。たとえば細胞は分裂によってのみ増殖するという法則に合わない、当然に疑問をもたなければならない現象が目前にあるのに、研究者たちはそれを回避、或いは事実を無理に定説に当てはめようと努力したり、事実をぼかして記述したりする形跡が残されています。

(ウ)形式論理が中心の科学方法論…科学的法則の樹立には正しい論理的な方法論による考察が必要です。研究者たちは形式論理に従って物事をはっきりと峻別し、固定化しようとしていますが、それでは実際の生命現象を正しく促えることはできません。

 自然現象というものは絶えず変化し、対極の統一、換言すれば2極の不安定状態における安定という弁証法的運動として把握する必要がある場合が少なくありません。細胞の種類に関する多元説や赤血球分化能の否定といったことは、生命現象の動的見解が不足している結果といえるでしょう。

 だから生命現象を正しく理解するためには生命現象を時間、空間の枠を通した一つの運動形態として促えなければなりません。

B細胞分裂説を過大評価している現代科学

 新しい細胞生物学の樹立のために最も必要なことは、従来のような細胞分裂に対する過大評価を早急に再検討することといわざるを得ません。それには先ず、定型的な細胞核が凡ての細胞に存在するという考えから脱皮しなければなりません。高等動物の細胞はともかくとして、バクテリア、単細胞藻類、酵母などに定型的な細胞核が存在するか否かについて、現在においても諸説が入り乱れ一致した意見に統一されていません。千島喜久男も観察の結果として大きな疑問が残ると述べています。

 高等生物の細胞においても細胞発生の一定段階では核の存在が明確でない場合があります。さらに核分裂が細胞増殖の唯一の方法だという考えには大変な無理が伴っているものと考えられます。

 多くの場合、正常状態では細胞分裂像が見られる機会が余りにも稀なため、種々の細胞分裂誘発剤(ナイトロジェンマスタード、カイネチン、その他)や物理的処置(放射線照射)によって、またカラー顕微鏡写真用の非常に強い光源の照射によって分裂像を観察できたと報告するものが多いというのが現況です。上記のような化学物質や放射線、光などが細胞分裂を誘発することは確かです。しかし生命体の自然状態における活動を研究するというのが本来の科学であって、人為的に自然の現象を従来の定説に当てはまるよう操作するのでは研究の意味が失せてしまいます。これからの生物学は、いわゆる細胞分裂に対する固定観念を改め、根本的な再検討を加えなければ、一層の行き詰まりに至ることは必定といえます。
 
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