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もはや学校は終っている
335242 登校拒否は悪なのか?(1)
 
門脇直輝 ( 22 愛媛県 会社員 ) 18/04/30 PM00 【印刷用へ
学校に行けない…「不登校50年」が問い直すもの
より
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・「英語でタイは釣れん」

 「だれも中学校をつくってくれと言うてない。英語を教えてくれる? 英語でタイは釣れん」

 岡山県の児童相談所職員だった佐藤修策さんは、1947年(昭和22年)に中学校が義務教育化された当時のエピソードを紹介した。

 瀬戸内海に面した倉敷市の漁村で、家庭訪問にまわると、中学校に行っていない生徒がゴロゴロいた。子どもに漁業を継がせたい父親は、釣りのイロハは学校では身につかないと主張した。「中学校は英語を学ぶことができるんですよ」。そう言って親を説得しようとしても、鼻で笑われた。

 「子どもを学校へ通わせるのは親の義務です」。当時は、こんな立て看板があちこちにあった。「勉強がいやなら、さっさと働け」と言ってしまう教員もいた。

 「学校に行かなければならない」という考え方もなく、不登校が問題になることもなかった。

・「学校に行けない」

 文部省は1950年に長期欠席者(年間30日以上の欠席者)の全国調査を初めて実施。この調査によって、49年度の長期欠席者は、小学校で約40万人(出現率4.15%)、中学校で約34万人(同7.6%)。小中合わせて約74万人いることが明らかになった。

 家庭が貧しくて学校に通えない。病気がちで通学が難しい。農業や漁業などを営む家庭は幼い弟妹の面倒や家事の手伝いを優先させた。長期欠席は、経済的理由が59.6%を占めた。

 ところが、60年ごろになると状況が変わった。はっきりとした理由がないのに欠席が長引く児童・生徒が現れた。

 経済的に困窮しているわけでもなく、健康状態に問題があるわけでもない。にもかかわらず、精神科や児童相談所にこんな悩みを訴える子がいた。

 「なぜだか分からないけれど、学校に行けない」
学校へ行こうとすると足がすくむ

・精神医療の問題として議論が繰り返された。

 学校に行けない――。その原因として、精神障害の一つである統合失調症、母親と離れると不調になる母子分離不安、自閉症、神経症などが疑われた。

 しかし、徐々に、子どもに原因があるとする考え方に疑問符がついた。子どもではなく、学校の状況に問題があるのではないか。

 国立精神衛生研究所(現・国立精神・神経医療研究センター)に勤務していた児童精神科医の中沢たえ子さんが1960年に「学校恐怖症の研究」を発表している。これが、日本で初めての不登校についてまとめられた論文とされる。

 学校恐怖症は、高所恐怖症や閉所恐怖症といった状態と同じで、学校へ行くとなると思わず身構えてしまったり、足がすくんで前に進めなくなったりする体の反応だ。

・病院内に「親の会」

 不登校は、子どもの問題ではなく、解決には学校を変える必要があると訴えていたのは、元国立精神・神経センター国府台病院児童精神科医長の渡辺位さんだ。

 「腐った物を食べたら下痢をする。下痢が問題なのではなく、細菌の繁殖した食べ物を摂取したのが原因であって、排出しようとするのは防衛反応。下痢の原因を見ないで、下痢だけを治そうとしてもだめ」

 渡辺さんは1973年、病院の中で同じ悩みを抱える保護者が集まる「親の会」を設立した。

 そこに集まった保護者らは、周囲から白い目で見られ、自責の念に悩まされていた。

 「母親の育て方が悪いから、甘えた子になった」

 「父親が厳しくしないから、子どもがわがままになった」

 「自分の育て方が間違っていた……」

 そういう見方にさらされながらも、親の会は、子どもの側に立って、学校のあり方を問い直していった。

・「自分は悪い子」と泣いた

 「不登校50年」の連載には、学校に行けなくなった不登校経験者も登場する。1987年、小学4年のときに学校へ行かなくなった男性が当時の心境を打ち明けている。

 「学校は絶対に行かねばならないと強く信仰していると、ちょっとの休みで、『いけないことをしてしまった。もう顔見せできない』と思って、1週間、2週間と休むようになって、それが1か月、2か月となって、どんどん行けなくなってしまう。私の場合は、そんな感じで学校に行けなくなって、『もう人生おしまいだ』と思っていました」

 男性は「自分は悪い子だ」と親に訴えて泣き、物に当たり、苦しんだという。
 
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