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原始共同体社会
332630 『世界神話学入門』〜すべては、すべてに繋がっている
 
太刀川省治 ( 57 大阪 建築士 ) 18/01/11 AM00 【印刷用へ
『世界神話学入門』の著者、後藤明は言う。
「最古の神話を読み解いたら、世界の不思議な「共通項」がわかってきた」

南方の先住民の間で語られるゴンドワナ神話群は、自然と人間を一体化した思想を表現している。そこでは人間も動物も森羅万象もそれぞれが役割を果たしており、それぞれが存在する権利を持っている。
他方、文明の発達した国に伝わるローラシア型神話群は、自民族中心主義や征服者の思想に彩られている。

前者の自然観こそが現代の世界にもっとも必要な思考方式と言えないだろうか。



読書人の雑誌「本」1月号より
後藤明『人類最古の神話』
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すべては、すべてに繋がっている

今回出版した『世界神話学入門』(講談社現代新書)では、近年唱えられている世界神話学説にそって、ホモ・サピエンスに伴う二つの神話群、ゴンドワナ型神話群とローラシア型神話群を紹介している。

ギリシャやインドあるいは日本神話など、われわれがよく知っている神話は後者の方である。

一方、前者はアフリカで20万年ほど前に進化した現生人類のホモ・サピエンスが最初にアフリカから出たときに語っていた人類最古とされる神話群である。

近年一つの有力な学説として提唱されているのが、ホモ・サピエンスがアフリカを出た後、アラビア半島からインド亜大陸の海岸部を通り、スンダランド(氷河期にあった東南アジア島嶼部を含む大陸)を通ってオーストラリアまで4万から5万年前に一気に移動したという説である。

それは主に遺伝子の分析から主張されているが、ゴンドワナ型神話群はこの南回りルート移動経路によく一致した分布をしている。

南回りルートに対してヒマラヤの北を周る北ルートもそれほど遅くはないという証拠も出てきているが(海部陽介『日本人はどこから来たのか?』)、本書は世界神話学説にそって二大神話群の違いを私の意見も含めて紹介し、さらに地球規模の二大神話群の存在から日本神話の多様な成り立ちについて思考実験的に考察を進めてみた。

ゴンドワナ型神話の特徴は世界や海は最初から存在する、そして人間も動物も天体も創造されたのではなく最初から一緒に暮らしていた、あるいは土中から出てきた、などとする思想が、アフリカのカラハリ・サン、インドのドラヴィダ系、東南アジアのネグリト系、そしてオーストラリアのアボリジニやニューギニア、そしておそらく南米南端にすむ狩猟採集民などの間に残っている。それによると人類最古の神話はこんな感じであろう。

昔、海しかなかったとき海亀だけが泳いでいた。広い海を泳ぎ回っていたが、海面では休む所がなかったのでため息をついた(パプア・ニューギニア)……するとエビは触角を使って水に漂っているゴミや草や葉を集め、蟹は深く穴を掘った。

水が穴の中に流れ込み大地が現れた(インド洋のアンダマン島民)……コガネムシが泥から土を上に持ってきて土の固まりを転がして大きくしているうちに地面が成長し、高い丘ができた(ネグリト)。

最初のとき地上は形をなしておらず平らで、太陽や月も宵の明星も、まだ地の冷たい裂け目の中で休止していた。

地下にはいろいろな生命が存在していたが、それはまだあいまいな形であり、永遠の眠りの中に休息していた。やがて精霊たちが目覚め、彼らは地面からいろいろな動物の形をして出現した。

太陽と月も地下から現れ、地上は初めて光にあふれた(アボリジニ)……人類の祖先たちはその頃、動物と同じ名前を持っており、人々は動物の話をするとき、それぞれ違った動物の口真似をして表現する。動物自身が話しているかのように発音したのである(カラハリ・サン)。
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(続く)
 
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