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国家の支配構造と私権原理
331134 キリスト教とイスラム教〜同じ一神教でも大きく異なる(イスラムは金貸しの被害者)
 
田野健 HP ( 57 兵庫 設計業 ) 17/11/14 AM01 【印刷用へ
ユダヤ、キリスト教の神は旧約、新約という言葉の通り神との契約によって成り立っている。この契約によって個人の利益が約束されるという構造がキリスト教社会の原型にある。キリスト教の神とはその意味で利益の約束に利用されただけでキリスト教の本質とは騙しである。

それに対して同じ一神教のイスラム教は根本的に異なる。
かつての記事でイスラム教の特徴をまとめた注目投稿があるので改めて押さえておきたい。

宗教が国家を上回った国:イスラムとは?【2】同じ神を信じるキリスト教・ユダヤ教と何が違う?〜リンク
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預言者ムハンマド(マホメット)によるイスラム教の誕生は今から約1400年前の紀元622年頃であり、約2600年前のユダヤ教、約2000年前のキリスト教を下敷きとしつつ生まれた“後発”宗教であることが一つのポイントだと考えられます。

第一に注目すべき点は、イスラム発祥地であるアラビア半島においては、当時未だ部族共同体が残存していたという点です。
これは超肥大国家であるローマ帝国支配下氏族共同体が解体され、根無し草のバラバラな個人にされたキリスト教誕生期とは全く異なる状況であり、部族共同体の規範の元、各人の自我も一定抑えられていたと思われます。
また、当時宗教的には各部族共同体が各々の土着の神を信じる多神教であり、部族単位で多様な生活を行っており、未だ「国家」というものは存在していませんでした。

誕生の契機となったのは、メッカやメディナで直面した部族共同体崩壊の危機(という現実)であると考えられます。
行き過ぎた利益追求が自我の肥大化を招き、結果元々彼らのもっていた商業規範(ex.貧しいものには手をさしのべる)や、生きる基盤である部族共同体の規範を破壊し、社会秩序は破壊されつつあった・・・
 これは、預言者として覚醒した後メッカにて弾圧を受けた際のムハンマド=神の言葉にも表れています。

メッカの退廃、そしてメディナにおける部族間対立・・・こうしたアラブ世界の秩序崩壊、部族共同体崩壊の現実を直視し、そこからの脱出といった人々の潜在的な期待を掴んだムハマンドがその秩序回復の突破口として、「アラー」(唯一絶対神)の言葉を“借りて”生み出したのがイスラム教です。
これは、巨大ローマ帝国支配の現実を捨象し、架空存在である“神”や“あの世”といった架空観念に救いを求めたキリスト教とは正反対の成立構造と言えます。

キリスト教が巨大ローマ帝国の支配下において虐げられた貧民の宗教であり、絶えず「国家>宗教」という力関係の下、国家統合に利用され続けたのに対し、イスラム教は始祖ムハンマド以降、部族を指導する族長や数学や天文学・医学や歴史学・地理学の専門家、そして、イスラム法学者(ウラマー)らエリート層がリードする宗教であり、初めから「国家=宗教」(政治的指導者=イスラム法学者)といった対等な関係の下、急速に政治課題を解決し拡大したところが、キリスト教だけでなくほとんどの宗教との大きな違いと言えます。

このように、「現実捨象」「政教分離」「国家>宗教」のキリスト教に対し、「現実直視」「政教一致」「国家=宗教」と、対極のイスラム教が、キリスト教、ユダヤ教と全く同一の神“ヤハウェ”を唯一絶対神として信仰するのはなぜでしょうか?
 一つ考えられることは、元々が部族毎に異なる多神教であり、ゆえに対立を生んだ諸部族を統合するために、多神教の“神々”を超越した“唯一絶対神=超越観念”を必要としたと思われる点です。

つまり、あくまで最重要課題はアラブ民族同士の対立を止揚し統合することであり、そのために後発の利を生かし既存の“唯一絶対神”を上手く利用したムハンマドの卓越した戦略を感じずにはいられません。

まとめ〜キリスト教との違い〜
◎部族共同体が残存している
◎現実課題を直視し、その突破口として誕生
◎「政教一致」「指導者(政治家)=法学者」であり、宗教の力で国家統合
◎日々至るところに修行過程、追求過程が組み込まれている
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イスラム教vsキリスト教という構図を作り出しているのは対立を作り戦争需要を作り出す金貸しの仕業であり、イスラムは十字軍の時代〜現代まで、未だその攻撃と負荷を加えられていると見ておいたほうが良い。
 
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