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学校って、必要なの?
328744 日本の「知識偏重教育」がオランダに学ぶこと-異学年交流と先生自身の学ぶ姿勢-
 
穴瀬博一 ( 28 会社員 ) 17/08/12 PM05 【印刷用へ
(以下引用)―――――――――――――――――――――――――――
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いま日本の教育において最も語られているテーマが、アクティブラーニングだろう。「詰め込み教育」「一方通行」と揶揄されることの多い、従来の知識偏重型の授業から脱し、体験学習や調査学習、グループワークやディスカッションなどを通じて、子どもたちが「自ら能動的に学ぶ力」を身に付けられるような教育へと転換していこうという動きが盛んだ。
こうした流れのなかで、海外のある取り組みがあらためて注目を集めている。「ドイツ生まれ、オランダ育ち」といわれる「イエナプラン教育」。日本の教育関係者からも熱い視線が注がれており、現地にまで視察に訪れる人も少なくない。いったい、イエナプランとはどのような教育なのか。私もイエナプラン教育を肌で感じるべく、オランダへと赴いた。

□担任の先生もワークシェアリング
子どもと保護者でごった返すオープンスペース
オランダ第2の都市ロッテルダムから列車で15分ほど。人口4万人ほどのバーレンドレヒトという町にあるDr.schaepmanschool(ドクター・スハエプマンスクール)を訪れた。案内してくださったのは、石原基良さん(33歳)。2人の子どもをこの学校に通わせたくて、2年半前に一家でこの町に移住してきたという。
学校に到着したのは、朝8時30分。ちょうど子どもたちが登校してくる時間帯だった。こちらでは保護者が付き添うことが多く、親子で自転車通学というのがオーソドックスなスタイル。付き添いの保護者の4割近くを父親が占めていたことが印象的だった。石原さんによれば、午後の時間帯になる迎えにも、父親の姿が多く見受けられるという。

□年齢が違う子どもたちが一緒に学ぶということ
それもそのはず。イエナプラン教育では一般的な学年制を採用しておらず、ファミリーグループと呼ばれる異年齢学級を編成し、共に学んでいく。この学校では、低学年(4〜6歳)、中学年(6〜9歳)、高学年(9〜12歳)という3つのカテゴリーを設けている。
それぞれの教室では、年長者が年少者に優しく接する、わかりやすく勉強を教えるといった光景を当たり前のように見ることができる。年長者はそこでリーダーシップを学び、年少者は数年後にその立場となることへの準備をする。そして翌年になると、年長者はそのグループを卒業して次のカテゴリーへと進み、年少者だった子どもたちが今度は年長者として、新しくカテゴリーに加わった幼い子どもたちをリードしていく――といったサイクルで学びを進めていく。
「これは私見ですが」と、石原さん。
「日本でも問題になっているいじめって、私は同質性を重視することから来ていると思うんです。だから、違いのある子どもがいじめられてしまう。それで言うとね、ここではいじめって起こりにくいだろうなと思うんです。だって、年齢が違う子どもたちが一緒に学んでいるわけですから、違いなんてあって当たり前なんです。そんなことで誰かをいじめようとする子なんて、誰もいない」
まずは、石原さんのご長女が在籍する低学年グループを見学させていただくことにした。子どもたちと保護者たちが一緒に歌をうたい、ハグをしてお別れ。そして保護者たちが帰ると、日本でいう「朝の会」が始まる。これはサークル対話とも呼ばれるもので、イエナプラン教育でも最も大切にされている時間のひとつだ。子どもたちが円を描くように座る。教師もその円に加わる。とても小さな、それこそささやくような声で、子どもたちと教師が何かを話し合っている。
いったい、どんなことを話しているのか。解説を求めようと石原さんのほうを振り返ると、石原さんは教室から離れるように後ずさりして、私にもそちらへ移動するように促した。そうして石原さんも声を潜め、彼らがどんなことをしているのかを伝えてくれた。
「昨日どんなことがあったとか、今日はどんな気持ちなのかとか、そんなことを共有しているんです。それが終わると、先生が今日の予定を話します」
この異年齢集団が「ファミリーグループ」と呼ばれる理由がわかった気がした。まるで家族のように、互いを理解し合う。尊重する。そのためには、昨日どんなことがあったのか、今日はどんな感情でいるのかを共有しておく必要がある。もちろん、無理に話す必要はない。話したい子だけが手を挙げ、口を開く。ほかの子も、教師も、黙ってその子の話に耳を傾けるのだ。

□教師自身が「自ら学ぶ」という姿勢を見せること
オランダでは、教師に1人当たり年間13万円という研修費が支給される。彼らは、日々進化する指導法や教材、さらには社会課題にキャッチアップすべく、自らの興味や課題に沿って研修を受け、自己研鑽(けんさん)に励むのだという。
「だから、先生がいないことが多いんですよね。娘が学校から帰ってきて、『今日も先生いなかったよ』なんて言うこともしょっちゅうです。だけど、ほかの先生たちがカバーしてくれるから何の問題もないんです」
日本では、どうだろう。「世界一多忙」ともいわれる日本の教師たちは、学びたいという意欲があってもなかなかそうした時間を確保できないのが現状だ。また、教育委員会によって課される研修も少なくないが、そのすべてが教師にとって意欲的に取り組めるテーマや内容になっているとは言いがたい。
教師自身が「自ら学ぶ」という姿勢を見せることは、子どもたちにとって大いに参考になる。まさにアクティブラーニングの良き手本になるはずだ。学校での教育方法だけでなく、教員研修のシステムをとってもオランダから学ぶべきことはありそうだ。
 
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