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法曹・官憲・役人こそ、社会閉塞の黒幕
328725 あまりにも異常な日本の論文数のカーブ
 
加藤俊治 ( 64 大阪 ) 17/08/11 PM08 【印刷用へ
日本の論文数の急激な低下の原因は、「国の政策→研究者の追求活力のDN」か?

リンク より

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 今まで、私は、主としてトムソン・ロイター社の学術文献データベースにもとづいて分析し、日本の学術論文数が停滞し、国際シェアが低下していることを皆さんにお示ししてきましたが、エルゼビア社の学術文献データベースも、トムソン・ロイター社と並んで、世界の大学のランキング等にも採用されている、たいへん有名なデータベースですね。

 日本と海外諸国の最近の学術論文数の推移を示してあるのが下の図(リンク)です。米国と中国は他の国よりもはるかに多くの論文を書いており、スケールが違うことにご注意ください。

 さて、この図をみると、少し太めの赤線で示されている日本の論文数が、多くの国々の中で唯一異常とも感じられるカーブを描いて減少していますね。いつから減少しているかというと、国立大学が法人化された翌年の2005年から増加が鈍化して2007年から減少に転じています。他の国はすべて、右肩上がりです。

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 一方、エルゼビア社のデータベースでは、2004年の国立大学法人化の数年後から論文が顕著に減少しており、これを見ると、まさに国立大学法人化、あるいは、法人化の時期と一致して起こった何かが原因であることを思わせるデータですね。減少に転じるのが2004年から少し遅れているのは、何らかの原因が論文数に反映されるのにはタイムラグがありますから、それで説明できるかもしれません。

 エルゼビア社のデータでは、唯一日本だけが異常なカーブを描いており、これは、徐々に、自然の流れで生じたことがらではなく、突然に、人為的・政策的に生じた現象であることを思わせます。

 このカーブを見せられたら、たとえ法人化そのものが原因ではなくても、他の国は国立大学を法人化することを躊躇するでしょうね。まだ韓国と台湾が国立大学を法人化していないのも、わかるような気がします。

 私は、各大学の裁量を増やすことが法人化であると解釈すれば、法人化そのものが論文数減少の原因にはなりえないと思っています。台湾の国立大学は、法人化をしていないのに、各大学の裁量を増やして、論文数が増えていますからね。法人化によってさらに裁量が増えたら、ひょっとしてもっとパフォーマンスがあがるかもしれません。

 そんなことから、裁量を増やしたたことが論文数の停滞〜減少につながったのではなく、法人化と同時期になされたさまざまな政策、たとえば運営費交付金の削減や、新たな運営業務の負担増、特に附属病院における診療負担増、政策的な格差拡大による2番手3番手大学の(研究者×研究時間)の減少、などが影響したのであろうと考えています。

 もっとも、トムソン・ロイター社のカーブとエルゼビア社のカーブのどちらが、研究力を真実に近い形で反映しているのかわからないわけですが、いずれにしても2000年頃から法人化後にかけて、日本の学術論文は停滞〜減少傾向にあり、他国がすべて右肩上がりであることから、研究面での国際競争力が急速に低下したことは、まぎれもない事実と考えていいでしょう。

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 このような論文数減少のカーブを描いた国立大学法人化第一期(2004〜09)において、国立大学法人評価がなされ、その点数によって運営費交付金が大学間で傾斜配分されても、いったいどういう効果があるの?と問いたくなりますね。国立大学法人評価やそのインセンティブは、国立大学全体としてのパフォーマンスを向上させることが目的であると思いますが、法人化第一期の国立大学の研究のパフォーマンスは下がっているわけですからね。もっとも、私が学長をしていた三重大学は評価によってご褒美をいただいた大学の一つなので、ありがたく頂戴しているわけですが・・・。

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