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私権原理から共認原理への大転換
325151 「関係価値」―人と人とのつながりを重視する社会
 
匿名希望 ( 40代 大阪府 技術 ) 17/03/20 PM07 【印刷用へ
社会が目には見えにくいが確かに大きく変化してきていることを実感する日々、興味深い記事に出逢いました。
これから必要なのは「新しい価値観」
以下、引用記事の著者は、京都大学東南アジア研究所助手、国立民族学博物館助教授等を経て現職である人間文化研究機構・総合地球環境学研究所 教授の阿部 健一氏。

特に若者発で変化が顕著である例を抜粋し、これからの社会のあるべき姿を考えたくなりました。

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しずかな変化

社会が大きく変わりつつある、と思う。この変化は目立たず、すぐには気づかれにくい。しかし、忙しいさなかにちょっと立ち止まって周りを見渡せばいい。日常生活のなかに、あるいは人々との会話のなかに、変化を感じることができる。ちょうど季節が移り変わるときのようだ。ゆっくりとしかし確実に変わっている。

変化は、特に若い世代で顕著だ。まず所有ということ。たとえば車も自宅も欲しいと思っていない。僕は昨年思うところがあって車を手放すことにした。研究所の若い同僚たちに譲ろうとしたが、誰も引き受けてはくれなかった。必要ないですから、ということである。自宅に関してもそうだ。家を建てるということは、僕らの世代では夢だった。しかし若い世代にこの願望は希薄だ。どこからか、居心地のいい借家を探してきて快適に過ごしている。

人生の目的に関しても、違ってきた。社会的な評価を気にするよりも、むしろ自分の好きなことをしたい。がむしゃらに社会の階梯を上がることなど考えていない。消極的あるいは内向きに思えるが、大切にしたいものが違っているだけである。社会的な成功よりも家族や友人とすごす時間に価値がある。立身出世という言葉は死語になったようだ。

消費のあり方も変わってきた。今では、無駄に物を消費することに心理的抵抗が生まれている。必要なものと欲しいものを明確に区別してきている。なんでも手当たり次第に安く手に入れたいというよりも、本当に必要なものなら「良いもの」を高くてもと考える。さらにいえば自己顕示欲を示すための消費でなく、生活の内面を豊かにするための消費へと変化している。

若い世代は、車や自宅を欲しいと思っていない。所有に対する価値観が変化している。

振り返れば、われわれは物質的豊かさと利便性を大切な価値だと信じて、社会をデザインしてきたのである。そして今日、その価値観が変わってきている。人々はあらたな価値を求めている。

車はカー・シェアリング、家もシェア・ハウス。「自分も、みんなも」という「つながり重視」の新たな価値観を求めている。

新たな価値観とは何か

根本的な変化をもたらすあらたな価値観とは何なのか。公共心、公平性、清廉、誠実性などいろいろ言葉が浮かぶ。そのなかで僕は、つながりということに着目している。

高度成長時代には、仕事以外の人づきあい、親戚づきあい、近所づきあいは煩わしいものだった。豊かさを競い合い周りに目を配る余裕がなかったからだと思う。また村社会というのは、個人の自由や権利が制限されているという否定的な意味合いしか持たなかった。豊かさを求めて都市に来た人は、田舎のがんじがらめの人間関係から解放される自由を味わったのでないか。

その人間関係が、見直されている。地域のコミュニティが再評価されている。ソーシャルメディアの発達と拡がりは、だれもが誰かとつながっていたいことを示している。人は一人では生きられないという当たり前のことが、ますます大切になってきている。

所有ということに関しても、関係性は無視できない。近代主義の生んだ個人とその自立性を過剰に強調することで、私有することをいびつに崇めることになってしまった。家や車に限らず、私有することは絶対的な価値だと思い込んだ。しかし今日、共有することのほうに価値を見出す人は多い。カー・シェアリングにシェア・ハウス。共有の根底にあるのは「自分だけが」ではなく、「自分も、みんなも」という考えである。
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著者はこの考えはコモンズという概念と重なる、という。
分かち合うことでより豊かになり、そこにはつながりと信頼を重視する価値観がある。つながりを重視することで共有することができるし、共有することがあらたなつながりを生む。

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