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社員の活力を引き上げるには?
325110 『世界最強の女性経営者』に8年連続で選ばれている篠原さん〜高い志を持つことです。自分が世の中にどんな価値を提供したいのか。そこを徹底的に考えてください。〜
 
櫻井佑衣子 ( 25 東京 会社員 ) 17/03/18 PM10 【印刷用へ
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米フォーブス誌が8日発表した2017年の「世界のたたき上げ女性長者ランキング」で、人材派遣大手テンプホールディングス(HD)創業者の篠原欣子名誉会長が48位になった。日本で唯一、ランキング入りした。総資産は11億ドル(約1250億円)とされる。

 一代で10億ドル以上の資産を築いた女性をフォーブスが調査・分析した。選ばれた56人の累計資産は1290億ドルに達したといい、「1000億ドルを超えたのは2017年が初めて」(フォーブス)という。

 篠原氏は「人材派遣の女王」とも呼ばれる著名経営者。社会人人生は三菱重工業でスタートさせた。その後、スイス、英国への語学留学を経て、オーストラリアの市場調査会社に入社。当時、労働者派遣に興味を持ち、帰国後にテンプHDの前身であるテンプスタッフを立ち上げた。


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― 篠原さんが考える“起業家の条件”を教えてください。

 まず「お金儲けをしたい」、「社長になりたい」という利己的な考えではうまくいかないと思います。「この事業をやって社会に貢献したい」という純粋な想いがないと会社は長く続きません。起業するのが目的で起業してはいけません。自分が起業することで、世の中でどんな役に立つのか、そこがいちばん大事です。

  私の場合、まだ日本で女性の活躍できる職場がなかったので、「じゃあ、自分で会社をつくって、女性の活躍できる職場をつくろう」と思ったのが起業のきっかけでした。また、私は海外での勤務経験が長く、ちょうどオーストラリアで秘書として2年間働いていた頃、現地で優秀な派遣スタッフが活躍しているのを見ていました。だから人材派遣業の素晴らしさを知って、日本でも人材派遣業を広めたいと思いました。


― 昔から起業志望ではなかったんですね。


 起業したいなんて思ったことはなかったですね(笑)。ただ、働く女性に憧れはありました。これは母の影響です。私が8歳の時に父が病死して、母は助産師の仕事をしながら5人の子供を育てたんです。その当時、自立した女性は珍しく、働く母の姿は本当に格好良かった。母は食事をしていても、寝床についていても、依頼があれば、すっと立ち上がり、きりっとした出で立ちで仕事に出かけていきました。私は子供心に「将来は母のような働く女性になりたい」と強く思うようになったんです。



― 篠原さんがいちばん印象に残っている経営の“壁”を挙げるとすれば、それは何ですか?

 「社員100名、年商100億円」を目前にした“壁”ですね。それまで派遣スタッフも社員も女性のみでした。しかし女性だけの会社で、これ以上会社を発展させることが困難になったんです。

  ちょうど起業して14年目、1986年の頃です。当社は『成長の鈍化』という“壁”にぶちあたりました。起業から13年間はバックオフィスの数名の男性を除いて、社員全員が女性でした。もちろん支店長も女性のみ。支店展開をしたものの、支店長たちは守りに入っていたんです。支店長に新規の顧客開拓について聞いても、「もう顧客開拓はすべてやり尽くしました。新規開拓の余地はありません」と。私は内心、そんなことはないと感じていました。そして、そろそろ女性だけの組織に限界がきたなと思ったんです。

  女性には女性特有の強みが、男性には男性特有の強みがあります。女性は、地道に足元を固めながら前に進みます。目の前にある課題を黙々と改善するので、安定感は高い。基礎を固めながら着実に伸ばします。そして、論理よりも感性を重んじる傾向があります。男性は、大きな夢や野心を持ち、ぐいぐいと組織を引っ張っていく。明確な目標も数字にして表し、何事も論理的に考える傾向があります。

  人間も動物です。DNAに刻み込まれているのだと思います。女性は子育てを、男性は狩りに出かけるというように。そして、この女性と男性の両方の力が企業経営には必要です。それまでは女性だけの力で伸ばしてきました。驚くことに、売上目標もなければ、個人のノルマもない。ただ、目の前にある課題に地道に挑み続けて、年商75億円までもってきたんです。女性の力って、本当に素晴らしいと思います。しかし、これ以上会社を発展させようと思えば、女性だけの組織では限界に達していたのも事実です。私は大改革を断行することを決断しました。


― 篠原さんが考える“壁”を乗り越えられる経営者、乗り越えられない経営者の「差」を教えてください。


 本質を見抜けるかどうかだと思います。表面的に格好つけたり、見栄を張ってはダメです。素直な心を持って、謙虚にいられるかどうか。そこが差だと思います。そして、何よりも仕事に対して熱心なこと。素直な心で、熱心に一生懸命やっていれば必ず“壁”は乗り越えられます。


 まずは高い志を持つことです。自分が世の中にどんな価値を提供したいのか。そこを徹底的に考えてください。決して利己的な考えで起業してはいけません。

  またいったん会社を始めたら、絶対に途中であきらめないことです。逆境に負けない強い心を持ってください。やり抜くんだという強い気持ちが大事です。そして、たとえ失敗しても、その失敗は自分の経験となっています。失敗は成功の母です。失敗の中に成功へのヒントが隠されています。だから失敗をおそれずに、勇気を持ってチャレンジすればいいと思います。

  あと、仲間を大切にすることです。社長になったからといって、決して威張ってはいけません。ビジネスというのは仲間の協力を得ながらするものです。仲間あってこそのビジネスです。社長になると自分が偉くなったと勘違いする人がいますが、それは間違っています。社員が会社に集まるのは、意義のある事業を成し遂げるために集まっているのであって、社長のために集まっているのではありません。そこを履き違えずに、事業の本質を考えながら地道に頑張ってください。
 
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