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密室家庭は人間をダメにする
268240 プライバシーはエゴイズムである(山本理顕氏)
 
野田雄二 ( 51 大阪 営業 ) 12/09/01 PM09 【印刷用へ
建設業界紙に紹介されていた、建築家、山本理顕氏の記事が面白かったので抜粋して紹介します。

建設通信・平成24年8月31日・所論緒論より

「プライバシーはエゴイズムである」

・日大大学院で住宅史をレクチャーしている。主に19世紀から20世紀初頭にどのように住宅がつくられてきたのか。一つの家に一つの家族が住むという住み方がいつから一般化し、なぜ標準化されたのか知りたかった。

・それは、ちょうどヨーロッパ諸国が国民国家として再構築されようとしている時期。住宅問題は当時の産業資本家たちにとって最重要課題であった。労働者として効率的よく働かせるため、住宅は最も強力な教育装置だった。

・フランスで計画されたミュルーズ労働者都市は1853〜55年に第一次計画が完成。その計画は徹底した単一家族隔離策である。「人々の間に自ずと形成される結びつきを警戒して民衆の悪習を但し、道徳的退廃を阻止する」(中野隆生著「プラーグ街の住民たち」)

・この家族隔離策は、1848年の2月革命の影響があるという。2月革命は改革宴会(政治集会を禁止された労働者のガス抜き)を禁止された労働者たちの不満が暴発して始まった。日常的に人々が集まって話をするような状況を出来るだけ避けたい、供給者サイドにはそういう強い意志があった。

・つまり「1住宅=1家族」という住宅供給システムの発端は、18世紀ヨーロッパ、特にイギリス、フランスの産業資本家たちである。隣に住む人に対する無関心がすり込まれ、「1住宅=1家族」の内側の規律を守る生活こそが、均質な労働者としての労働力を育成するために有効だった。

・この「1住宅=1家族」と言う住まい方は、第一次世界大戦を挟んで多くの国民国家における住宅のつくられ方に強い影響を与えることになっていった。均質で優秀な労働者がそのまま国民という言葉に置き換えられた。

・そうした集合住宅の形式が第二次世界大戦後の日本にも輸入されて今でも私たちの住宅に強い影響を与えていおる。その住宅の特徴は外部に対する閉鎖性であり密室性である。まさにミュルーズの労働者住宅そのものである。

・そして今、われわれは密室性をそこに住む人たちのプライバシーのためには必須であると思い込んでいる。

・それは、供給者サイドから見れば家族管理政策そのものである。住む側からはその密室性は外部(他者)に対する無関心、それは刷り込まれたエゴイズムそのものなのだ。そのような住宅に今、私たちは住んでいる。そしてその限界を痛切に感じている。
 
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