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企業を共同体化するには?
211322 自主管理への招待(2) 社会は、生産力の転換によってしか根底的な変革を遂げることはできない
 
岡田淳三郎 ( 60代 大阪 経営 ) 09/07/23 AM00 【印刷用へ
【自主管理への招待(2)】

高度成長期にあれほど盛り上った若者のエネルギーは、新しい活力が現実に求められている今、見る影もなく沈滞している。また、経済が繁栄していた頃あれほど威勢よく賃上げを進めてきた組合は、現実に消費需要(←賃上げ)を作り出すべき肝心の今、何の力にも成らずに敗退を重ねている。人は生産が低落すればするほど生活の内に身を充足させ、時代が激動すればするほど体制の中に身を定着させるものなのであろうか?

社会の繁栄期には「反体制」的なお祭りに打ち興じ、社会の衰弱期にはその体制に依り縋るのだとしたら、それらの人々にとってこの社会体制はよほど頼りがいのあるもののようである。だが、そのような「思想と運動」は、社会の経済的繁栄の上にオンブされた、偽りの「自己主張」にすぎなかったのだと言うしかない。なるほど彼らは、頭の中では人間主義を標榜し、口先では社会変革を唱えてきた。だが指導者自身が方向を見失い、社会全体が衰弱してゆく状況の中にあって、何ひとつ新しい方向を提示し得ずにむしろその体制にブラ下って生きているのだとしたら、その「社会変革」の中味は、実は体制隷属ではないのだろうか?そのような「人間主義」の中身は、実は奴隷主義ではないのだろうか?


一言でいえば、彼らは表面と中味が、自分自身の意識と存在が、完全に断絶している。どれだけ高度な思想で自らを武装したところで、それでメシを喰ってゆくことの現実が、消えてくれるわけではない。どれだけ人間的連帯を叫んだところで、それで他人を蹴落して大企業に居ることの現実が、帳消しになるわけではない。そこでの「思想」は、常に自己の現実の前に挫屈し、いずれ消え失せる以外に何の道も残されていない。
実際、そのような「思想と運動」は、何を残し得たのか?残された彼らの真実は、受験戦争に勝ち抜いて大企業に入り、そして今ではその体制に寄りかかって、ひたすら身の安定を求めているという現実ひとつ以外に何もない。その現実は、彼らの頭の中の「人間主義」や「社会変革」と、どう結びつくというのか? 自ら否定している現実と、自分自身の現実とは同一ではないか! 
いったい、自己の思想と現実との、この鋭い背反をどうするのか?既成の思想は、この問いに答えるべきであろう。その「思想」があってもなくても、自己の現実の存在には何の変りもないのだとしたら、もはやその「思想」は存在する資格がない。自己を見つめるべき思想が実は自己の現実から目を外らし、社会を変革するべき運動が実は現実の社会にブラ下り、さらにこのような自己矛盾にさえ不感症になって終った「思想と運動」に残されたものは、もはや精神の荒廃だけである。

自己の現実が深く関わっているこの社会は、それ自身の生命と構造を持っている。社会は、その時代の人々の欲求に応え、かつ人々の営為によって担われる〈生産様式〉を土台として、その様式に応じた生産と政治の諸関係を構成し、再び人々の存在と意識をそれらに適応させる。つまり、人間と社会との夫々の存立の基盤を成し、夫々の存在の中核と成っているのは、生産であり労働である。従って、私たちの認識にとって重要なのは、あってもなくても良いような「思想」ではなく、人間と社会の基底的な現実を形成している生産様式の認識であり、あるいは、社会への一方通行で空まわりの「自己主張」ではなく、人々の根底的な欲求が交わり合う生産関係の認識である。
また人間と社会は、人々の日々の圧倒的な営為によって生産力が発展し、それにつれて生産様式が転換されてゆくことによってしか、根底的な変革と発展を遂げることはできない。従って、あれこれの政治運動以前に、何よりもまず、社会の土台を成す新しい生産のあり方を提示することなしには、社会を変革することはできない。同様に、あれこれの生活要求以前に、自己の土台を成す新しい労働のあり方を提示することなしには、意識と存在の断絶を止揚して自己を実現してゆくことはできない。
 
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