現代意識潮流を探る
98499 欲しいものは時間〜焦りの適応主体その危うさと可能性
 
山澤貴志 ( 40 鹿児島 ITコンサル ) 05/10/04 PM11 【印刷用へ
先日看板前に立ち止まった女の子(17歳)と「欲しいものはあるのか?」という話になった時のことだ。彼女の答えは「時間が欲しい」というものであった。そこで、居合わせたお手伝いさんも含めて「欲しいもの」の変遷を振り返ってみた。70年以前であれば、当然、それはモノであり、女であり、つまりは自分の意のままになるもの=私権であった。しかし、70年=貧困の消滅を契機に、人々の欠乏の中心は、やりがいへと向かい、そして芸能人・マスコミ志向、更には路上・ブログ志向へと移り変わってきた。いまや誰もがみんなに何か認めて欲しい、そのために何かみんなが求めているものを突き止めて、形にしたい、発信したいという「答え欠乏・発信欠乏」の主体となりつつある。彼女も絵を書いたりするのが好きで何かを表現したいと思い、高校を辞めたりしたこともあるのだという。

けれども「やりたいこと」がマスコミ・TVの中にあるのか、既存の表現者たちは参考になるのか、そう考えると全く持って役に立たないというか、答えがないことが自覚されてくる。彼女いわく、「既存の言語や表現は抽象的で現実の役に立たないのだ」という。こうなると一から作り出すしかない、そうした思いに駆られている彼女は切羽詰った「勉強しなくっちゃ」意識にとりつかれ、その結果「時間が足りない、時間が欲しい」というコトバが口を突いて出てきたという訳だ。

確かに「生物史を覆すようなパラダイムの大転換実現論4_3_01実現論4_3_02」という状況認識すら学校・マスコミにはないのだから、そんな中で答えを探すことは個人ひとりにとっては超難課題であり、本気で勉強しようとすれば「時間はいくらあっても足らない」という感覚に陥ることになるのも必然であろう。しかし、同時に実際何をどう勉強していいか分からないというのも事実だろう。だから「時間がない」とかいいながら「実際は気ばかりが焦った毎日を送っているだけで、実は暇=やることがない」というケースも多く、案の定、彼女もそのパターンで、その日は最後まで露店を手伝ってくれた。まさに「焦りの適応主体98021」とは彼女のことであった。

「焦りの適応主体派」は「目先であれなんであれ可能性」を渡り歩くという「腰の軽さ」が行動の特徴となる。一昔前であれば「路上や政治・思想集団に対する胡散臭い」という警戒心の壁は大きかったが、今や「可能性探索意識」が警戒心を上回り出したともいえ、これは一種の可能性ともいえる。

しかし、他方でこの「焦りの適応主体」は安易な「魔女狩り的規範収束98085」を生み出したり「注目されるものに飛びつくという注目収束97402」現象を生み出しもする。そこには「既存の言語や表現は抽象的で現実の役に立たない」からこそ「ややこしい観念」を捨象して、より共認原理にちかく主体的行動の羅針盤たりえる「行動規範」や評価共認そのものともいえる「注目」に収束するという判断が伺える。これらの目先収束現象とは「観念捨象の実践探索18572」だと言い換えてもいい。しかし「観念を必要とする地平は、厳然として存在する」

>社会構造に起因する危機・課題(観念閉塞や経済破局や環境破壊etc)は、構造認識によってしか把めない。
>社会は、体感共認(の空間的限界)を超えることのできる観念共認によってしか、統合できない。
>感応観念は地域や利害によって異なるので、社会を統合できない。
>∴社会の問題を解決し、社会を統合するには、人類と社会についての構造認識(⇔事実の認識)が必要である。 以上18572

目先収束=実践探索で行き詰まった人の中には「既存の言語や表現は抽象的で現実の役に立たない」ことも「観念捨象の実践模索では足りない=観念を必要とする地平」があることにも気付き始めた層は確実にいる。そして小泉圧勝というマスコミのごまかし報道は、「目先収束」の行き詰まり感を加速する。ならば「人々の潜在思念の認識収束を顕在化させ、新しい認識=構造認識の必要に気付いてもらう為には、例えば次の様な言葉が有効だろう。26869

>@まず私権の衰弱⇒本源基調・外向基調という状況認識。時代はとてつもなく深い所で、大きく動いている。従って、古い私権観念で新しい現実を「関係ない」と捨象していたのでは、自分が貧しくなるばかり。深い所で大きく動こうとしているものを、しっかり対象化し、鮮明に把む必要がある。
>Aこれまでの観念は、不全と現実否定に基づく頭の中だけの倒錯観念だから、役に立たない無用の認識となったのだ。今求められているのは、現実否定から現実肯定へと観念パラダイムを180°逆転させた、全く新しい認識である。
>Bそれは、本源基調・外向基調という新しい現実を、サル・人類の原基構造にまで遡って、肯定的に対象化した構造認識であり、この構造認識という概念装置を身につけることによって初めて、新しい現実の可能性が鮮明に見える様になる。以上26869

焦りの適応主体・・その危うさを可能性に転換させられるかどうか、それは既に喉下まで出かかっている収束不全潜在思念を顕在化させ「潜在思念の実現観念態であると同時に、潜在思念が現実を対象化する(=更なる可能性を模索する)概念装置」である構造認識そのものの「勉強の必要」をストレートに語りかけられるかどうか、に懸かっている。実際、「意識と存在が断絶した旧観念では答えにならない。潜在思念に新しいカタチを与える新観念が必要」という話に17歳の彼女は大いに納得していた。

「'05年、“中身のある言葉”が力を持ち始める!」98021との状況認識を確かに持ち、路上で「新観念の必要」を語りかけていきたい。
 
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99149 焦りの構造 小林雅志 05/10/15 PM08

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