マスコミに支配される社会
97533 カメラの向こうの絶対権力者
 
働く主婦 ( 43 大阪 ) 05/09/18 PM08 【印刷用へ
久しぶりに警察に勤めている知人に会った。彼は技術吏員として、交通事故や災害の現場処理、検証を行うような仕事をしている。会うといつも言葉少なで、みんなの話に静かに耳を傾けているタイプ。その彼が、集まったメンバーたちがひととおりおしゃべりを楽しんだあと、珍しく話を切り出した。

「一体、マスコミってどこでどう調べるんでしょうねぇ?」
「えっ?何のこと?」

社会的にも大きく取り上げられた、ある事故現場の話。何日にもおよぶ処理・検証中、当然現場にはマスコミが張りついていたらしい。連日夜遅くまで作業は続き、ある日、その日の業務が終了してヤレヤレと家路に着くと、家の前でいきなり声をかけられたという。相手はテレビか新聞の記者。どんなささいなことでもいいので、現場を知る人でなければ知り得ないような新奇なネタを提供してもらえないか、と詰問されたという。記者はハイヤーで乗りつけ、本人が帰宅するまでその車の中に身を潜め、家に入る直前に突撃してきたと言う。当然すぐに断ったらしいのだが、その後も待ち伏せは続き、仕方なしに、家に近づくと緑ナンバーの車が止まっているかどうかを伺い、それを認めると遠回りをして帰宅する日が続いたという。

「僕らみたいな下っ端の名前や住所、一体どこで調べてくるんやろ?って思いました」
「へ〜、そこまでするんや〜」

一同、顔を見合わせた。驚いたわたしたちを見て、彼は尚も続けた。

事故の現場では、一日中カメラを向けられ、凄惨な現場状況に吏員たちの作業も慎重に進められる。

「でも、人間って、何日もずーっと、マジメなむずかしそうな顔ってできないですよ。やっぱりちょっとしたときに表情が緩むというか、ほほえむこともある。身内の葬式のときだって、悲しいっていう気持ちはあっても、何かのときに親族同士そっと笑い合うことってありますよね。それといっしょなんです。でも、カメラは、ここぞとはかりそこの瞬間だけ切り取って、映像として流してしまう。で、そこだけ見せられたひと(=視聴者)は、『警察はなんと不謹慎な!』と思うんです。それで、電話や投書で抗議が続き、マスコミもそれを大々的に取り上げたりする。。。途中でそのことに気づいた上司から、『お前ら全員マスクをつけろ。歯を見せるな』って指示が出ました。現場の人間がマスクをつけているのは、そういう意味もあるんです。」

「そうなんや〜。」

「そのくせ、マスコミ自身はカメラの向こうやから、絶対に画面に映ることはない。こっちが作業をやってる傍らで、彼らは平気で雑談に興じて笑ってたりするんです。不謹慎なのはどっちや?って思いました。」

「うわ〜、イヤな感じ」

「逆に、大災害にあったひとたちやそこのボランティアのひとたちの話って、スゴイ美談が多いでしょ?あれだって現場はそんなきれいなもんじゃないんです。送られてきた救援物資を仕分けして、皮ジャンは取り合いになるから、よけとこ、とか。やっぱり醜い、いやらしいところもある。でもそこは全部カットして、キレイな話ばかり書き連ねていくんです」

「なるほどねー」

「マスコミってこわいな〜、って思いました。」

>つまりマスコミとは単なる現実の傍観者で在るばかりではなく、もっと性質の悪いことに、現実の一部を切り取ってそれを面白おかしく針小棒大に語る、三文小説的脚色家なのだ。(中略)ニュースはおしゃべりのネタ、つまり面白おかしく現実を脚色して発散するという形で、肥大する自我の発散欠乏に照準を当てることから始まっている。(37953)

カメラの向こうにいるというだけで、絶対的な権力者になれるー。

共認原理の時代だからこそ、画面には決して姿を現わさない煽動者たちの存在を忘れてはならない、と思う。



 
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