共認運動をどう実現してゆくか?
96551 不可能視から可能性視への転換
 
川井孝浩 HP ( 32 東京 設計 ) 05/08/28 PM11 【印刷用へ
実際に露店に悩み相談に来られた事例で、こんな事がありました。

最初目の前に立ち止まった時の形相は、凄まじいものだったのを良く覚えています。

「何でも答えてくれるって書いてあるけど、私の病気は治らない。それでも、兄さん答え出せるんですか?」

とにかく挑発的な態度ではあったが、内容を聞いてみない限りは何も応えようが無いので、まずは話してみて、と降った。すると、

「私は小さい頃からてんかん、20才を過ぎても治らなかったので、もう治す事は難しい、と医者に言われた。それ以外にも、躁鬱、パニック障害、なんやらかんやら、そしてこの前は精神障害がバレた事で仕事もクビになった。私にはやりたい事が何も出来ない。今までも、周りから色んな言葉を掛けられては来たが、どれもこれも慰め。。。」

という話であった。彼女の挑戦的な態度の裏には、強烈な不可能視が刻印されていた。
とにかく、一旦は彼女の気持ちを全て受け止めてみよう。そんな想いで、地面に腰を降ろし、真正面に向かい合って、悩み相談を始めた。

話し始めた頃の彼女は、自身の病気に対して不可能視をしつつも、自分は幸せである、と必死になって訴えていた。しかしそれは、全て現実に対する否定のエネルギーの成せる技でしかなかった。そう思いたいだけ、なのだ。医者に治らない、と宣告されているにも関わらず、母親は自分が病気である事を認めてくれない。沢山の否定スパイラルの中で、結局は彼女に行きついた先は強烈な自己否定。自分は幸せになれない、という自分観念(決め付け)によって苦しめられている、と感じた。

てんかんの知識など殆どない状態での対応ではあったが、彼女の話の中に違和感を感じる部分に、とにかく「何故そう思うのか?」を問い掛けていき、不可能視の殆どは自らの決め付けでしか無い、という事にまずは気付いて貰った。
さらに、現状に目を向けてみると、しっかりと仲間に支えられている姿がそこにあるのだから、沢山の感謝に包まれている姿をもっとイメージして貰いたくて、「感謝は万能薬」の話を伝えてみた。

人が死ぬ事などは当り前であり、それが何時になるのか等、誰も解らない。自分だけが不幸だ、などと思う必要も無い。ただ単に自分は誰にも解って貰えない、と決め付け、自ら心を閉ざしてしまっているだけに過ぎない。何故、今生きている自分を、そして周りを素直に受け入れられないのか?その原因は今日の話の中で見えてきているが、とにかく既に諦めている病気に対する不可能視(治らない)という思いを改めてみる、という意志を持って貰う事が出来た。

その一週間後、露店に訪れた彼女の表情は、驚くほど変わっていた。
なんと、てんかんの検査(脳波の検査)を受けた結果、ほぼ完治、という結果が出たらしい!

その後もちょくちょく露店によって、状況報告や別のお題を聞いたりしてくれているのですが、今では完全に完治し、当時の彼氏とは別れ、新しい仕事や、病院で知り合った仲間の話し相手として病院に通う姿など、様々なシガラミと決別し、初めて見た頃とは見違えるほどの笑顔を見せてくれるようになりました。

不可能視とは、自らの肉体をも蝕むほどの危険な状態である、という認識。
そして、感謝。諦めない気持ち、期待を、そして可能性を感じ続ける事で、道が切り開かれていく事。

路上という「みんなの場」で、また一つ勉強させて貰いました。
 
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