共認心理学:現代の精神病理
96057 自分第一の母親が増えていったのは何で?
 
雪竹恭一 ( 38 大阪府 営業 ) 05/08/15 PM06 【印刷用へ
様々な現代の精神病理の背景には、自分第一の母親に育てられたという共通項があります。60〜50代の過保護、50代の過期待、50〜40代の無期待といった具合に、世代によって典型的なパターンの違いはありますが、そのような子供への接し方になってしまう原因に母親の自我と自分第一の価値観があるというのは共通項であり、大きな問題であると思います。自分第一の価値観は、何も母親に限った問題ではありませんが、子供の性格形成に及ぼす影響が最も大きいのが母親であることを考えると、母親の価値観がどのように形成されてきたかを社会的に考えておくことも必要であろうと思います。

モデル的に考えてみると、今の60歳は、‘45年終戦の頃に生まれ、‘60年頃に思春期を迎え、‘70年頃に結婚・出産した世代です。50歳は、‘55年生まれ、‘70年頃思春期、‘80年頃結婚・出産、40歳は、‘65年生まれ、‘80年頃思春期、‘90年頃結婚・出産ということになります。

非常に大雑把に時代状況を俯瞰してみると、‘60年代が高度経済成長の時代(私権闘争が活力源であった時代)、‘70年代が貧困の消滅とそれに伴う序列原理の無効化の時代(反身分・反差別など序列原理に対する反のエネルギーが出てきた時代)、‘80年代が、序列原理の無効化から目先の私益収束が進んだ時代(性権力の暴騰とバブルの時代)、‘90年代が収束不全が顕在化し共認収束を強めていった時代(性権力の衰弱とバブル崩壊の時代)ということができると思います。

それから考えると、60代は、終戦後の貧困の圧力の中で幼少期を過ごし、私権獲得が活力源であった時代に思春期を迎えた世代ですから、比較的序列規範や私権規範が強く染み付いている世代です。私権主体としての自我はあるものの、規範意識によってある程度自我は制御している世代であると言えるかと思います。(子育ても役割規範意識が強いので、世話焼きの過保護になりやすい。)

それに対して、50代は、豊かになってゆく時代に幼少期を過ごし、‘70年の序列原理の無効化に伴う男女同権論・ウーマンリブの台頭、未婚の母や女性の社会進出の社会問題化といった時代に思春期を過ごした世代ですから、旧い序列規範や私権規範を捨象し、代わって平等やら人権やらといった反序列の観念で自我を正当化していった世代です。旧い規範を捨象した分、自分第一の自我は強まった世代であると言えるかと思います。(子育ても自分発の過期待や自分のやりたいこと優先の無期待になりやすい。)

40代は、貧困が消滅してゆく時代に幼少期を過ごし、序列原理の無効化に伴う私益収束、性権力の暴騰といった時代に思春期を過ごした世代ですから、ますます規範性が衰弱し、我がまま・身勝手になっていった世代です。旧い序列規範意識や私権規範意識は殆どなく、かと言って旧観念にも収束できなくなった世代であり、剥き出しの自我が強くなった世代であると言えるかと思います。(子育ても、自分の我がまま優先でかつ観念も空っぽなので、教える中身が何もなく、無期待になりやすい。)

このように、世代が下る毎に自分第一の自我は強くなっている傾向がありますが、その原因には、貧困の圧力の消滅⇒序列原理の無効化⇒反身分・反差別意識による旧規範の捨象⇒自我への収束という構造があるように思われます。

しかし、所詮自我は共認に対するアンチであり、否定する対象である共認の中身(旧い序列規範や私権規範)が無くなれば、アンチのエネルギーもなくなります。‘90年以降は自我が衰弱してきているのも、もはやアンチの対象すらもなくなったという収束不全の結果です。そして、収束不全からの仲間収束という共認収束の意識潮流が、自我に対する新たな封鎖力となってきています。

この共認収束による自分第一の自我の封鎖が、今後若い世代が子育てを再生してゆく基盤になるであろうと思います。そして、自分からみんなへ子育ての課題を開き出してゆくこと、そして教えてゆくべき共認の中身(新たな規範と答え)を豊かにしてゆくことが、ますます重要になってゆくと思います。
 
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