まず「相手の尊重」の大元には「相手のプラス視」があると考えられます。言葉を代えれば、「相手プラス視」の機能が人間には備わっていると考えて良いでしょう。
さて、この相手のプラス視が形成される土台ですが、発達史的に考えれば、それは乳児期の母子との授乳やスキンシップによる、一体感や充足に原点があると考えられます。(あるいはもっとさかのぼれば胎児期の母胎内での充足も含まれるかもしれない)
つまり皮膚感覚の快充足です。この皮膚感覚の充足は乳児期だけではなく、子供同士のじゃれ合いや、セックスに至るまで幅広く存在しています。また他にも、不安な時人がそばにいるだけで安心感を感じるなど、直接皮膚こそ接していないが、それに類似する感覚は、注意深く考えればごく日常的に散見されるように思います。そこには言葉以前の、かつ狭い意味での自己意識を超えた、相手に対するプラス視が存在します。
このスキンシップの充足を原点とすると思われる、相手プラス視の機能が、人と人が結びつく上での最も根幹部分にあるのではないでしょうか。
この機能をどう呼ぶかですが、適切な言葉は皆さんに委ねます。機能を表すという意味では誰かも使ってましたが、化学用語である、「親和」という言葉(馴染み合い、融合し合うという意味だと思います)が語感から言っても妥当なのかも知れません。生物学でも時折使われているようです。 |
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