サル社会を解明しよう
95365 「行動経済学」
 
庄恵三 ( 50代 神奈川 営業 ) 05/07/30 PM11 【印刷用へ
今年の5月7日号日経サイエンスに「動物達の行動経済学」という記事がありました。
要旨を紹介すると、<<これまでの近代経済学では市場の力関係を軸に経済活動における意志決定がなされると理解したのに対し、行動経済学は人間の行動に意志決定の原理を求める。創始者はカーニマンとヴエルノスミスで’02年のノーベル経済学賞を受賞。
「人間というものは潜在的利益に突き動かされる以上に損失を恐れ、大勢に従うものである、しかし情緒的意志決定が無分別であるとは限らない」と説く。
その例として、オマキザルの実験例を挙げる。
「小石とキュウリを交換する実験」
2匹のサルのうち最初は小石と交換にキュウリをあげる。次に一方のサルだけにブドウをあげる。(サルは果物が大好物)するともう一方のサルは不公平な扱いに対して、キュウリを受け取ることを拒否したり、もらってもゲージの外に放り出したり、小石を返すのを拒否したりする。
「協同作業をしないと果物にありつけないサルの実験」
各々のサルのゲージの前で錘を下げた台の上に透明な器を載せ、中に果物を入れておく。その器を2匹同時でないと引っ張れないようにする。
どちらかが引っ張るのを止めると器は元に戻ってしまう様にしておく。
すると2匹は一緒にヒモを引っ張るが、先に器の果物を取ったサルはその瞬間ヒモを離す。すると双方の器は元に戻ってしまう。あせった一方のサルはヒモを盛んに引っ張るが、果物にありついたサルはもう引っ張る理由がないので、知らん顔をしている。そうすると取れないサルはギャ―ギャ―騒ぐ。
すると、既に果物を食べたサルが「もうウルセー奴だなあ!しょうがねえや」とばかり、自分の利益の増進にはならないが、一緒にヒモを引っ張ってやる、というものである。
また、類人猿の中では人間とチンパンジーとオマキザルだけが協同で狩を行い、食物を分け合う。食物の分配と集団による狩は同時発生の可能性が高い。>>

この実験と事例で学者が言いたかったのは、「全ての人間は己の利益を最大化するよう行動する」という従来の経済学のモデルに対し、現実の人間はそんな紋切り型の対応をするのではなく、経済行為においてももっと感情的、情緒的な事情に基づいて行動するものだということなのであろうが、しかし、その分析自身はあながち間違っては居ないだろうが何か違和感が残る。(サルと人間の行動はイコールかという問題は問わないにしても)
いまや実現論の読者からすればこの「ホモ・エコノミクス」では無い行動原理がサル人類固有の「共認」に基づくものであることは明白であり、ことさら上記の如きサルの実験を行なわずとも、サル・人類の行動原理がほぼ解明されている。
詳しい「行動経済学」なるものを知らないし、創始者である2人の経済学者もノーベル賞をもらうぐらいだから、よほど精緻なモデルを構築したのであろうが、その行動原理の証明の一つが上記のサルの実験であるとしたら、なんと断片的な証明であることかと感じずには居られない。
社会の統合認識レベルの追求では、現象的事実を包摂した歴史事実の論理的追求がいかに大切かを再認識し、実証実験に頼るこれまでの科学的手法の限界を感じる記事でした。

 
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