日本人の起源(縄文・弥生・大和)
95069 文明って何?
 
雪竹恭一 ( 38 大阪府 営業 ) 05/07/24 PM11 【印刷用へ
この種の議論を読むたびに、そもそも「文明」って何だろう?と考えさせられます。はっきりとした定義はないようですが、一連の投稿から公約数的な要素を挙げてみると、都市国家の成立をもって、それ以前の(未開)時代と文明時代が区分されているように読み取れます。具体的には、城壁や環濠、巨大な建造物、その中に見られるまつりごとの痕跡、或いは、金属器や文字の存在などが、「文明」を定義する重要な要素になっていると思われます。

逆に言えば、それ以前の社会は、従来の歴史観で言うと「先史時代」と言われるように、「文明」社会とは見なされていないというのが一般的な見方かと思います。長江文明なども、今まで「文明」史の範疇には入っていませんでした。(我々世代の歴史の教科書には、黄河文明などの四大文明以外の文明があることは書いてありませんでした。)それは、遺跡の発掘自体が最近のことで、あまり史実が知られていなかったこともありますが、そもそも黄河文明に比べると、都市国家成立の痕跡や金属器や文字の存在など、「文明」を定義する材料に乏しく、歴史家の目があまり向けられていなかったという問題も大きいような気がします。同様のことは、日本の三内丸山遺跡などにも言えることで、かなり高度な社会を築いていたと推察されるにもかかわらず、「文明」を定義する材料に乏しく、縄文文化は「文明」という言い方がされることはありません。

おそらく、「文明」という歴史観は、現代に至る私権時代の価値観に基づくものであろうと思います。西洋主導の認識と言ってもいいかも知れませんが、西洋的な「文明」の尺度をもって歴史を解釈しているにしか過ぎないのではないでしょうか。西洋「文明」が追い求めてきた、私権闘争⇒略奪闘争勝利の証としての都市や巨大建造物、それらを裏付ける様々な技術を「文明」と称しているにしかすぎません。もっと言えば、自らの私権「文明」の進歩性・優越性を正当化するために、それ以前の社会を「未開」とか「先史」とかと区分したがるのではないかとも思われます。そのような観点から言えば、「文明」というのは、私権時代の人類が、私権時代とそれ以前の時代を区分するために使った概念区分であり、「文明」時代というのは、私権時代のことであると考えるのが本質的な定義ではなかろうかと考えます。

しかし、人類500万年の歴史を考えると、私権時代というのは、たかだか3000年(長くとっても5000年ぐらい)の歴史しかありません。人類史全体のスケールから考えると、極限時代に共認機能を基にして言葉・観念機能を発達させてきたことやそれらの機能をもとに集団を組織化してきたこと、或いは、弓矢を発明して外敵と互角以上に戦えるようになったことなども立派な(私権文明をはるかにしのぐと言ってもいいくらいの)「文明」なのではないかと思います。

長江文明の発掘などを契機に、従来の歴史認識が塗り替えられてゆく可能性がありますが、その際、旧い私権時代の「文明」史観に囚われることなく、より本質的に人類史的なスケールで歴史を捉えてゆく必要があると思います。
 
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