健康と食と医
92485 アレルギーの原因はアレルゲンだけなのか
 
高田敦 ( 40 大阪 塾講師 ) 05/06/11 PM01 【印刷用へ
アレルギーになりやすい体質とは、ダニやスギ花粉などのアレルギー原因物質に反応するIgEと呼ばれる抗体を血液中にたくさん持っていると、この体質と判定されます。

国立成育医療センター研究所が1970年代生まれの医学生ら258人の血液を調べたところ、86%に当たる222人がアレルギー体質と分かりました。また、人口百万人以上の大都市生まれでは、その割合は92%にも達しています。専門家の間では「衛生的な環境で育った乳児の方がアレルギーになりやすい」との仮説が注目を集めており、同研究所は「70年代に日本の乳幼児を取り巻く衛生環境が劇的に改善したことが背景にあるのではないか」と見ているようです。

実際に アレルギー疾患は元来先進諸国に多く、開発途上国には少ないといわれていました。現在の日本においても、都会のほうが田舎よりも多いという報告がみられます。これらのことを考えると、ダニやハウスダスト、花粉などのアレルゲンだけが原因というよりも、食生活や住宅、社会環境の変化といった近代化的要因がヒトの感受性を変え、今まで仲よく共存していたアレルゲンに拒絶反応を起こしてしまうアレルギー素因というものをつくったのではないかと考えられます。

文明社会の発達に伴いヒトの生活は複雑になっています。口にする食品の数もバラエティーに富み、食品添加物などの人がつくりだした人工物質も多く摂取しています。また日々はストレスにあふれ、気密性の高い部屋で年中エアコンをかけ、汗をかくことも運動することも少ない現代社会というのは、人類がはじめて経験している、およそ他の生物の身体からはかけ離れた生活です。

また生活習慣もその増加に一役かっているようです。冷蔵庫の冷たい飲食物を一年中飲み食いする現代人は、脾胃という上部消化器官に過剰な湿をため込む傾向があります。もともと消化液という水にあふれた場所であるため、消化吸収できない余分な水湿は脾胃の働きを低下させて、湿を体のさまざまな場所にあふれさせる結果となるようです。またこのような水湿は、すこしでも外が寒かったりすると肺気のめぐりを悪くして気管支、鼻や眼、皮膚という局所にさまざまなアレルギー症状を起こしているようです。

以上のことからもアレルギー疾患は素因が全くなくても、ある日突然に起こってくることがめずらしくなくなっています。環境の様々な物質によって血液中にIgE抗体というものが生産されると、これが肥満細胞と結合してため込まれます。ここに再度同じ物質が入ってくると、IgE抗体との間で抗原抗体反応が起こり、結合している肥満細胞からさまざまな化学物質が分泌されて、これが喘息、鼻炎や皮膚炎といった多様な臨床症状を引き起こしてくるようです。

地球上に住むかぎり様々な環境物質に対して、すべての人にIgE抗体はできています。それが一定以上になったとたんに、ある日突然アレルギー疾患がおこってくるというわけですから、誰にでも起こりうる可能性があるのです。しかもアレルギー素因は次世代に受け継がれやすくて、重症化する傾向も判明しています。

1970年代以降の日本は、非常に清潔志向が行き過ぎた社会、抗菌社会です。インドネシアのカリマンタン島では、アレルギーは全くありません。(そこでは、子供たちがウンチの流れているところで遊んだりしています。)
 
小さい時期にどろんこになって遊んだり、多くの友達との接触などによって、小さい時期に多くの病原菌に触れることにより、免疫細胞の一つであるT細胞の発達に影響が及ぶようです。いろいろな菌などにふれることによりTh2細胞の生成量が減り、代わりに感染への抵抗力が大きい(免疫寛容の大きい)Th1細胞が増えるようになります。(Th2細胞は敏感で、いわゆるアレルギー反応を引き起こし安い)Th1細胞は免疫寛容が大きいため、アレルギー反応を引き起こしにくいと言われています。
 
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