西洋医療と東洋医療
92368 科学者に求められるもの
 
ルイジ・ヴィトン ( 44 島根 ) 05/06/09 PM02 【印刷用へ
蘆原さんの明確で、説得力のある投稿を読ませてもらい、改めて科学者とそれを巡る問題の一端が理解できたように思います。
 
 現在「科学」とか「科学的」と呼ばれているものは全て、西洋で進化した学問・研究の方法論であり、その根底には常に「実験とデータに拠る裏づけ=実証」があります。一世紀前の研究対象ならば、恐らく全てをその方法論で賄うことができたのでしょうが、学問分野の細分化と共に、そして社会的背景の変化から生ずる人々の需要対象の変化と共に、その「実験とデータ」に拠る実証主義ではどうにもならないものが発生して来ました。例えば「死後の生命」などはその一つだと思います。今でこそ「臨死体験」という言葉は市民権を得、それに関する書物は数多く並んでいます。しかし、そのテーマに世界で初めて本気で本格的に取り組んだキューブラー・ロス女史は、当時の医学界から袋叩きにあったといいます。しかし臨死体験、つまり医学的には一度「死んだ」とされる人が生き返り、「死んだ」瞬間から「生き返る」瞬間までに経験した(見た)出来事の談話データの数が多数集まるにつれて、このテーマが決して笑止できないことに世間も、科学者も気付き始めました。つまり死後の生命の「存在」をどうやら認めざるを得ないという事態に進展していったのです。しかしそれでもまだ、従来の科学者にとって救いだったことは、そもそもそれまで、これが科学だ、とされてきた方法=実験とデータに拠る実証主義では、どうしたって「死後の生命」の存在など証明の仕様が無いことです。つまり「まあ、そんなものもあるかも知れんなあ」と言っておけばよいのです。

 現在「死後の生命」を認める医者・科学者は相当数います。彼らは既に「医学は患者の病を治すのではない、病を治すのは患者自身であって、医学はあくまでもそれをサポートする役目を負うに過ぎない」という点で共認しています。つまりそうした医学者・科学者には「科学は真理の探求を第一義とする、そのためなら社会から隔離されることがあっても構わない」という自己充足者には付き物の傲慢さがほとんど無く、人間としての謙虚さを持ち合わせているという共通点があります。

 科学が人間の進歩・発展にとって多大な貢献をしてきたことを否定する人はいないと思いますが、科学者を人間的に追求することは、科学の進歩に比べ、悲しいまでに遅れてきました。日本ではとくにそうで、医療ミスに拠る患者の死亡事故が発覚しても、余程の事がない限り、医者は免許を剥奪されません。近年医学部の入学試験で、面接を重んじる大学が増えてきたことは良い傾向ですが、医学以外の科学分野ではまだまだです。
 
 これは医学という分野の話ですが、分野がどこであれ、科学者が社会で共認される基盤は科学者自身がこうした「謙虚さ」を認識するという、至極素朴なところにあると思いました。
 
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