市場は環境を守れない、社会を統合できない
91240 集団(統合)適応と共生(取引)適応
 
雪竹恭一 ( 38 大阪府 営業 ) 05/05/22 PM08 【印刷用へ
>その違いは、根本的には、身分を作り出す国家が闘争圧力に対応した「集団(統合)適応」の存在であるのに対して、お金を作り出す市場は闘争圧力からの抜け道としての「共生(取引)適応」の存在である点に由来している。(31251)

確かに、「統合」と「取引」は、原理的に全く正反対のものであり、相容れない関係にあると思います。「統合」が、闘争圧力に対応するために、個々の利害対立を超えて、みんなの意識を一つに結集させてゆくというベクトルを持っているのに対して、「取引」の場合は、みんなの意識を一つに結集させてゆくというベクトルとは正反対で、個々の私権を充足させるというベクトルしか持っていません。両者は、集団優先vs個優先、共認優先vs私権優先といった正反対の関係にあります。

この相反関係を少し分析してみると、闘争圧力が強い場合は、「取引」をしている余裕もなく、人々の意識は「統合」に収束してゆくのに対し、闘争圧力が弱まると、力の序列原理に基づく「統合」圧力も弱まり、人々の意識は「取引」に収束し、「取引」が拡大してゆくという関係にあるものと思われます。そのような意味では、確かに、「取引」は闘争圧力からの「抜け道」であると言っていいと思います。

例えば、近代の市場の成立と拡大の関係を考えてみても、中世の封建支配体制の「統合」圧力が衰弱し、万人に私権追求の可能性が開かれたことによって、「取引」が拡大してきたということが言えると思います。中世の欧州や江戸時代の日本というのは、それ以前の戦国時代と比べると、戦争圧力が衰弱した、比較的平和な安定した時代でした。闘争圧力が弱まった結果、「統合」圧力も弱まり、闘争圧力からの「抜け道」の可能性が開かれたので、「取引」⇒市場が拡大できたと考えれば、近代市場の成立過程は説明できるのではないかと思われます。(欧州で、市場化の前に、市民革命が起こって来たのも、闘争圧力の衰弱→平和安定期→「統合」圧力の衰弱があったからであると思われます。)

以上のような考察をもとにすれば、環境問題が根本的にはなくならない理由も説明できるのではないかと思います。‘70年以降の日本の状況は、本能を直撃するような生存圧力⇒闘争圧力が衰弱した結果、「統合」力は衰弱する一方という状況にあります。ですから、原理的には、国家の「統合」力が衰弱している以上、「取引」優先の市場原理を制御することには限界があり(「統合」<「取引」という収束関係にあり)、「取引」の方が拡大するということにしかなりません。従って、国家や各々の企業が、いくら「環境対策」をスローガンに掲げても、表面的なものになってしまい、根っこの「個⇒私権優先」という根本問題は残されたままになってしまいます。

このパラダイムを逆転させてゆくには、新たな闘争圧力を作り出してゆくしかありません。それは、やはり同類圧力であり、みんなの期待に応えてゆく共認闘争圧力であると思います。“個⇒私権優先⇒「取引」優先のパラダイム”を“みんな(集団)⇒共認優先⇒「統合」優先”というパラダイムに変えてゆく共認闘争圧力を作り出してゆくことこそが、環境問題に対しても、根本解答になると思います。
 
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