企業を共同体化するには?
90669 社会構造の転換にも、塗り重ね構造が必須である
 
村田貞雄 ( 58 静岡 企画 ) 05/05/13 PM11 【印刷用へ
生物の進化では、古い機能(本能)の上に、新しい機能(例えばサル・人類では共認)を獲得し、その共認機能の元に、古い本能(例えば性闘争本能)を組み込み、収束させることで、新しい圧力(同類圧力)に適応している。共認機能を獲得したとは云え、古い本能は決して無くなった訳ではなく、新しい機能の元で、組み変わった本能として存在している。これを塗り重ね構造という。

社会過程も、全く同様にように思う。

1970年から始まった、貧困という生存圧力がもたらした「私権原理(周りは敵で、最後はお金)と序列体制(獲得した身分で私権の大きさが決まる)」から同類圧力(共認原理がもたらす評価闘争の圧力)に適応しようとする場合も、同じく、塗り重ね構造でしか、転換しないように思う。

>考えてみれば、本能生物の世界では環境(=外圧)が変わる時、その新たな環境に適応すべく生み出された最先端機能の下に旧機能が収束して、全体が再統合される。同様に、共認動物の世界でも、生存圧力から同類圧力へと外圧(or状況)が変わる時、新しい状況に適応すべく生み出された最先端の意識(主に欠乏)の下に古い意識(主に欠乏)が収束して、全体が再統合される。35729

>生存圧力から同類圧力への大転換期である現在も、同様である。古い物的欠乏や解脱欠乏とそれらが作り出した私権闘争の全ては、新しい外向収束に基づく最先端の認識欠乏とそれが作り出す認識闘争の下に収束して、全体が統合される筈である。その際、新しい認識欠乏⇒認識闘争(=評価競争)は、当然、古い私権欠乏⇒私権闘争(=お金の獲得競争)の世界の真っ只中に姿を現す。そして、その古い現実世界の真っ只中で古い私権欠乏⇒私権闘争を自らの下に収束させてゆくことによってのみ、自らが最先端の意識(主に欠乏)であり闘争であることを証明してゆく。35729

個別事例であるが、事業とお金の関係で、新しい認識欠乏(評価競争)が、古い私権欠乏を収束させているものがある。

風力発電事業というものがある。オランダ製の大型風車で発電事業をしようとすると、1基3億円の投資が必要である。この風力発電事業には、商社の子会社が古い市場原理で資金を手当てして(つまり商社という企業組織の中の収益評価を受けて)取り組んでいる。その一方で、全く違う方法で、資金を集め事業を行っている事業体がある。

その事業体の呼称は「自然エネルギー市民ファンド」と言う。

事業の仕組みは、比較的シンプルで、風車事業に対して、地域住民や全国の人々から、一口50万円の出資募集を行い、その小口資金の集積だけで事業費を賄うのである(実際には、自然エネルギーに対する補助金もその資金の一部にはなっているが)。

2004年秋から2005年冬にかけて募集された「北海道石狩風車事業」は、募集期間の1ヶ月半前に、必要口数に達し、事業スタートに向かっている。

50万円の出資金は、事業配当として「元金+α」として帰ってくる「事業計画」にはなっているが、決して、それが保証されている訳ではない。市場的な言い方をすれば、「ハイリスク・ローリターン」商品であり、最も投資すべきでない商品である。

では、何故、この小口資金募集・市民ファンドが成功しているのか。

現在のお金の動きには、二つの側面がある。
一つは、お金が個々人の手元を離れて、銀行預金や各種基金となり、そのお金は、運用利回り(利子)を生むことを強制されている。正に、古い私権原理としてのお金である。

もう一つは、個々人の「社会に必要な事は何か」、「人々に求められているものは何か」という認識と一体となって動くお金である。

後者のお金の動きは、前者の私権原理としてのお金とは、全く無関係かと言えば、そうではない。小口とは言え、自ら出資するのであるから、その「風車事業」が、今の市場社会(発電収入)で、事業継続できるかどうかを当然ながら評価する。つまり、「事業計画書」への信頼性が評価に晒され、単なる慈善事業ではないのである。実際は、企業内での収益判断や市場(例えば既存の金融市場)からの資金調達よりも、もっと厳しい評価に晒されていると思う。

新しい現実(共認原理に移行した人々の意識)が、古い現実(お金に対する意識)を、その下に収束させている事例として見ることができると思う。

なお、出資者の意識の中には、私権的集団の外にある「社会」へ、当事者として参加できる方法として、可能性を感じたということも大きいのだろう。

参考:自然エネルギー市民ファンドの公式ページ
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ファンドの仕組み
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過去投稿の参考
「北の国から新しい風」3596
 
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