生命原理・自然の摂理
90080 なぜ二つの免疫系があるのか、その2
 
吉国幹雄 ( 52 鹿児島 講師 ) 05/05/05 PM08 【印刷用へ
約5億年前に出現した無顎脊椎動物(例えばナツメウナギ)は大きな体に大きな口を持ち、口を開けて餌を待つという適応戦略。ところがほとんどが3億年前に滅亡する。それは現在の魚類のような有顎脊椎動物が出現したからだが、明らかに闘争様式が違う。彼らは口を開け閉めして積極的に外界物を取り入れた存在、つまり敵を襲い食うという一段と攻撃力(逆に襲われる危険性も高くなるので同時に逃避力)を高めた存在。そして、この段階から獲得免疫が発達してくる。自然免疫系の補体もこのころから種類を増して多様性を獲得している。
<補体の参考サイト>
リンク

ひとつの手がかりとして、新聞記事に登場するSema4Aのようなセマフォリン。
実はこのセマフォリンは神経軸索を標的細胞まで導く(標的細胞への誘導作用と他の因子からの反発作用を持つ)代表的なガイダンス因子の一つ。つまり、獲得免疫系が発達する以前に神経系が先に発達していたということ。闘争力・逃避力を高める上で先に刺激と反応の神経系のネットワークを構築した。
もうひとつの手がかりとして、リンパ球セマフォリン分子CD100のブレーキ解除のはたらき。
セマフォリンCD100はCD72にくっつきブレーキを解除してB細胞の反応性を促進する。つまり、B細胞はすぐに活性化しないように、初めはブレーキがかかり神経系(=統合系)にコントロールされているというわけ。神経系の発達を持ってはじめて獲得免疫系が機能するようになった。そのように考えると、特異性の高い高速免疫システムとしての獲得免疫系の位置が面白い…
<参考サイト神経系と免疫系>
リンク

外敵闘争が激しくなると、生物は体を大きくし(反対に細胞は小さくして)、刺激から反応までの統合スピード(神経系の統合力)を高める。また、各器官と各細胞の機能分化・組織化を推し進めてそれらの統合力を高める。生物は強くなればなるほど神経系と組織統合力を高める方向で進化したと言えるだろう。

ところで、役割分化・機能分化(ヘテロ化)が進むから統合力が高まるともいえるので、ホモであればそもそもいっしょなので集団本能で対応でき、新たなシステムは必要とされない。だから、単細胞レベル(初期の多細胞生物)の免疫であればどの細胞においても敵は単純で、自然免疫の大雑把な敵認識で十分対応できる。

ところが、各細胞が分化を遂げると(当然自らの変異速度を上げる段階でのDANの切れっぱしがウィルスとなっている場合もあり)、敵か味方かの区別が単純でなくなる。さらに、現在のわれわれの腸内においても多くの微生物が消化を助けているように、協同的な種は取り入れそうでないものは排除している。そのようにして他者と同化して進化してきた。旧来の自然免疫系では対応できなくなる。

その突破口として、自然免疫系自体も(おそらく補体当たりから)さらに分化を推し進め、ついに多様な免疫グロブリンという変異体を随時作り出せるように免疫系自体が進化した。が、人間の場合で形成されたT細胞の95%が欠陥体として淘汰されているように、この免疫は当初リスクの大きい(つまり、細胞自らの変異体も排除する)そのままでは不十分なシステムであったのだろう。従って、いったん免疫系を進化させたが、それが旧免疫系に取って代わることはできなかった。

そして、有顎脊椎動物になって外圧適応の必然から中枢神経系が発達して初めて、この第二の免疫系をコントロールできるようになったのではないか。そして、同時に自然免疫系も神経のコントロールを受けることになる。
そう考えると、現在言われている自然免疫の回復も、実は神経系の回復に他ならないのではないか。「気」(統合感)の回復が自然免疫を、そして獲得免疫の回復をも促すのではないか。

 
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