次代の活力源は?
87992 中3生の合格体験記に感じる「みんな充足」
 
神家佳秀 ( 45 大阪 塾講師 ) 05/03/27 AM11 【印刷用へ
 私の勤める塾では毎年、入試の終わるこの時期に中3生へのはなむけに卒塾式を実施します。といっても学校のように形式ばったものでもなく華やかでもない、ほんとに講師と生徒達とのささやかなものです。

 ゲームやクイズなどで楽しんだ後で最後に寄せ書きや合格体験記など、生徒達のこれまでの「受験勉強」への想いを書いてもらったりします。

 十年ほど前までは合格体験記といえば「受験は自分にとってはマラソンのようだった、孤独に負けず、ひたすら頑張った。後輩の皆さんも『自分を信じて』頑張ってください」のようなフレーズが圧倒的に多かった。受験に勝つためには「強くなりなさい」ということです。そのためには「自分を信じなさい」…。

 しかし最近、ここ数年でこの傾向が急激に変化しています。

 今年の合格体験記のほとんどは勿論、志望校に合格した歓びに溢れたものですが、その歓びの元が明らかに違うのです。塾の教材やカリキュラムが良かったというのもありましたが「仲間がいたから頑張れた…ありがとう」「みんなと一緒に合格することができた…ありがとう」「自習室で仲間と教え合って合格できた…ありがとう」等など、「友人」「仲間」「塾のみんな」そして「みんなに感謝、ありがとう」という内容のものがほとんどでした。

 ある奈良県の超難関高を受験した生徒も「毎日自習室に通う勉強仲間達が受験前夜、家の前までみんなが見送ってくれて、最高のコンディションで合格できた…仲間と塾はぼくの最高の宝です」と括っていました。みんなと課題を共有でき、みんなと一体となって壁を乗り越えることの出来た達成感、充足感そのものが彼らの歓び、嬉しさの本質、「全て」ではないかと感じます。

 まさに自分からみんなへのパラダイム転換。

 そこに彼らは活力を漲らせ、『自分』ではなく『みんな』の可能性を信じて大きな壁にぶち当たる。まさにそんな彼らの「生き様」を体験記から実感しました。

北村氏の仰る

>そして今、何よりも問題なのは人々を取り巻く環境=外圧が「みんな不全」⇒「みんな期待」に変化したこと。<(msg:51407)のごとく「受験」、「入試」という昔で言えば究極の私権課題、自分課題を彼らは見事に『みんな課題』→『みんな期待』に転換することによって明るく、力強く、乗り越えているのではないかと思います。このこと自体、今の若者の新しい可能性そのものではないでしょうか。

 「高校の宿題があんねん、家でやったら変に落ち着けへんねん…」「みんな来るっていうから俺も来てん…○○君は来てる?」「ちょっと、みんなの寄せ書き見に来てん…」卒塾式も終え、巣立っていったはずなのに彼らはナンダカンダ下手な理由を言いつつ、みんなで塾にやってくる。同化できた仲間がいつまでも恋しいのだろう。そして夜になっても帰りたがらない。

 早く「子やらい」をしたいが「みんな課題」のある新しい充足場所を見つけるまで、もう暫くは塾にチョロチョロやって来るだろうなあ。
 
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