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ロール・レタリングという手法 |
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匿名希望 ( 25 埼玉 会社員 ) |
05/02/02 AM02 【】 |
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1月24日読売新聞の朝刊の、さわやか福祉財団理事長堀田力氏の記事の中で、少年院に入った子供たちを更生させる手法として「ロール・レタリング」というものを紹介していて、感謝と謝罪のトレーニング同様、共認回路を強化する手法として非常に面白いなーと思ったので、ちょっとその記事を紹介します。
>超自己中心的な少年たちをめざめさせる方法の一つにロール・レタリングがある。この方法を確立した西九州大学名誉教授春口徳雄さんの本「ロール・レタリングの理論と実際」(チーム医療)から、例を引く。
>十八歳にして二度目の少年院送りになったM少年は、すぐ怒り暴力を振るうお父さんは大嫌いだと、父当ての手紙に書く。これは実際に出す手紙ではないから、思いどおりに書ける。そして今度は、自分が父になったつもりで、その手紙に返事を書く。
>最初の頃は、「今まで育ててやったのに、ケチをつけられたら頭にきます」などと書いていたのが、やがて「普通の生活をしたいのなら、出来ない事はないと思います」と励ます父になり、何か月か経つと「お父さんも自分勝手だったが、話し合いたくてもMは逃げるので話し合えない」と、父の立場に理解を示すようになる。
>何回もの架空の手紙交換を経て、M少年は、「私は、本当に自己中心的で卑怯な人間でした。(中略)親父のあやつり人形ではないと言っておきながら、父を一人の気持ち、心を持った人間なんだと認めていませんでした」と書くに至る。
>今、ロール・レタリングはほとんどの少年院で採用され、2002年から毎年、全国ロール・レタリング学科も開催されるようになった。
>この手法を福岡県大野城市立大利中学校の教育に取り入れた岡本泰弘教諭は、実施した生徒としなかった生徒の変化を比較調査したところ、「自尊感情」「共感性」ともに、これを行った生徒たちの方が有意に向上し、逆に「ストレス反応」は減少したと述べている。
「自尊感情」「共感性」とは言い換えると「自分に対する肯定視」「周りに対する肯定視、同化」という事なのではないかと思いますが、とにかく上記の記事からはこの「ロール・レタリング」を行う事によって共認回路を強化することが可能であるということが言えそうです。
この少年Mの例では、まず父宛ての手紙には、架空であるがゆえに父に対する否定視がそれほど混じる事もなく自分の思いを素直にぶつけることができるし、父になったつもりでその手紙に返信する場合は、最初は単に自分の感覚で書いてたものが徐々に父に同化して書く事ができるようになって、結果としてそれが父に対する否定視を肯定視に変え、それに伴って自分に対する否定視も薄れていったのではないかと思います。
共認回路を妨げるのは自我回路(自己否定、他者否定)であって、この自我回路は、「どうせ自分は○○なんだ」とか「どうせあの人は○○に違いない」というような自分だけの思い込み、自分発の思考。それをうまく共認回路にシフトさせる手法としてこのロール・レタリングはとても面白いと思いました。 |
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