古代社会
83923 古代宗教は本源集団の代替物を組織して急拡大した
 
井上宏 ( 39 新潟 建築コンサル ) 05/01/12 PM08 【印刷用へ
古代宗教は失われた本源価値を頭の中で再構築したものだが、人々のあいだに拡大していったのは、私権社会の敗者や弱者の受け入れ・収束先として機能する共同体を組織化してからである。いわば本源集団に替わる受け入れ先を準備したのだ。

>ローマの過酷な支配が地中海世界の人々から奪い取ったものは多いが、ローマが破壊し、奪ったもっとも貴重なものは、彼らの共同体であった。ローマ人自信の市民共同体も征服の結果として、崩れつつあった。支配者からもまた被支配者からも、支配そのものによって失われつつあったもの・・・共同体を、キリスト教徒はまったく別の次元であたえつつあったのである。  (「ローマ帝国とキリスト教」世界の歴史5 弓削達 )

例えば、キリスト教徒は、避妊に失敗して生まれた赤子と生活苦で捨てられた多くの子供を拾って養育し、キリスト教を教え彼らの共同体を拡大していった。こうしてローマの社会矛盾に応える形で拡大していったのだ。

かれらのキリスト教共同体の場として機能したのが、ローマではカタコンベと言われる地下の共同墓地である。その総延長は数百kmに及ぶと言われ、埋葬者や殉教者は夥しい数にのぼる。
(参考:リンク

彼らは、迫害を恐れ、この地下墓地に集まり、儀式をおこない絆=隣人愛を確認しあっていた。この世に絶望し、なんの価値も認めていない彼らは、最後の審判後に現実=悪が滅び、神の国での復活を信じて、暗闇と腐臭だだようカタコンベでひたすら死を待っていた。

>大はローマ帝国から小は夫や妻のような身近なものまで、この世の全てに究極的価値を認めない、彼岸的態度によって支えられていた隣人愛の共同体は、ローマ人にも非ローマ人にも風にそよぐアシのような孤独な魂に憩いの場所を与えていたのであった。そしてそれを守るためには、かれらは殉教の死をさえも恐れないのであった。(同上書)

イスラム教もウンマという、共同体を組織することで、社会の弱者を受け入れ急拡大していった。

自らの生きる場=共同体を解体され、現実に絶望し、あの世に強く救いを求めざるを得なかった。そうした人々の現実での仮の共同体が、隣人愛などの架空観念にもとづく共同体だったのだろう。

それが架空観念にもとづく共同体であったことは、後にキリスト教が国家に認められ、現実の私権追及に可能性を見出してくると一気に露呈してくる。(参考:67509

 
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84420 イスラム教の「ウンマ」による拡大 仲西大輔 05/01/22 PM08

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