採集・漁撈・狩猟から栽培・牧畜・遊牧へ
82907 アジア系集団の成り立ち〜縄文時代の幕開け
 
岡本誠 ( 51 兵庫 経営管理 ) 04/12/21 AM00 【印刷用へ
日本人の起源は、6万年ほど前にスンダランドに到達した東南アジア人から出発しており、アジア系集団の成り立ちとともに探りたい。スンダランドは、最終氷期には海水面が下がりマレー半島、スンダ諸島、ボルネオ島、ジャワ島などが陸続きになり、アジア大陸から突き出た半島のような陸塊で、海洋資源を利用した最古の集団が多く住んでいたとされる(参照10382)。

アジア系集団は非常に複雑に混血しているが、大きく分類すると、一般的形質をもつ「東南アジア人」と寒冷適応し特殊化した「北東アジア人」の二つのグループに分けられる。ただ特殊化した後者の方が「典型的アジア人」と呼ばれ、アジア人に大なり小なり共通して見られる平坦な顔、モーコひだ(眼の内側端を覆うように上のまぶたが垂れ下がっており目が細く見える)、シャベル型切歯(シャベルのように切歯の裏側が強く凹んでいる)などの特徴が強い。東南アジア人が南から北へと拡散して行き、寒冷適応した北東アジア人が、再び南下し混血することで支配的になっていったことを示唆している。

南から北へと拡散して行ったことは、例えば歯の統計的分析から明らかにされている。アジア・太平洋集団の歯は「スンダ型」と「中国型」に分かれ、スンダ型は全体として小さく、形が比較的単純で、中国南部、東南アジア、ポリネシアなどに分布する。また日本の縄文人やアイヌも同じタイプの歯を持っている。一方、中国型の歯はやや大きく、複雑な形をもっている。具体的にはシャベル型切歯、三本の歯根をもつ下顎第一小臼歯、過剰な喉頭をもつ下顎第一大臼歯などが高い頻度で現れ、モンゴル、中国北部、バイカル湖より東のシベリアに住む北東アジア人、アメリカ大陸の先住民、そして現在本州、四国、九州に住む大部分の日本人(いわゆる本土日本人)が、このタイプの歯をもっている。中国型がユーラシアでは北東アジアに限られること、またその分布地域の中にアイヌのようなスンダ型を持つ集団が残っていることから、アジア人の歯はスンダ型から中国型へ進化したと考えられている。

このように東南アジア人が南から北へと拡散して行き、3万5000年前頃にはシベリアに到達したが、最終氷期の最盛期(約2万年前)に近くなると北方に閉じ込められ、急速に寒冷適応した北東アジア人が形成された。
やがて環境条件が緩和されると人口増から移動が始まり、寒冷適応をとげた集団が東は東部シベリア、西はモンゴル、南は東南アジアの北部にまで広がった。そして氷期が終わる1万1〜2000年前頃には、北ユーラシアでの集団移動が活発になり(西部集団の東進や典型的アジア人の南下など)、多様な集団の混血が生じたとされる。勿論その後も、特に中国を舞台に活発な移動は見られ、複雑に交錯している。

これらの結果、アジア人の南方的特徴と北方的特徴は、以下のようなグループに沿って南方から北方的特徴を強めている。
1.ミャンマーから台湾にかけて分布する集団
2.チベットとその周辺の集団
3.黄河より南の中国西部および南部の集団
4.東アジア(中国北部、朝鮮半島、日本)の集団
5.カスピ海から中国東北部の集団(カルムック、ブリアート、モンゴルなど)
6.東部シベリアの集団(ツングース、コリアーク、チュクチ、ニヴヒ、アジアエスキモーなど)
(参考:埴原和郎『人類の進化史』)

『縄文時代以前から複数のルートで移住してきた?(18807)』にあるように、日本人はスンダランドの東南アジア人を基層にもち、3〜2万年前には陸続きor黒潮ルートで日本列島に到達、2万年前以降は北方適応した北東アジア人の北からの移住も一部考えられ、縄文時代が幕開けしたと想定されます。
 
  List
  この記事は 18807 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_82907
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
83247 二つの玄関口 ミスター 04/12/27 PM01

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp