生物学を切開する
8121 受精における精子はDNAだけ持ち込むのではない
 
吉国幹雄 ( 48 鹿児島 講師 ) 01/08/16 PM09 【印刷用へ
お久しぶりです、村田さん。仕事の関係で長らくサイトを離れていましたが、また少しずつ仲間に入れてください。まずは、鈴木さんとの精子についてのやり取りに少し入れてください。本日は関連する範囲の参考意見として述べさせていただきます。

>先ず、1つ目の受精での精子細胞質の融合の件です。
確かに、精子には最小限の細胞質しかなく、精子発のミトコンドリアは消滅し、卵子系譜しか残らないというのが定説ですね。そこから、精子の細胞質は全て分解されて受精卵には継承されないと言うことですか。<(7730、村田さん)
>先ず、第1点目は、精子の先端部分(主に膜と先端の細胞質)は、卵子の膜を潜り抜ける役目をもっている。この先端部分は、受精後は、受精卵の着床部分に集まり、母体の免疫機能を中和させる機能を担っているようです。この件は、紹介サイトがないかと調査中です。<(7730、村田さん)

私も、免疫との関係はとても興味があるのですが、今すぐには答えられないので、また調べてみますが…当然、免疫上の拒絶反応をクリアーするシステムがあるはずですね。また、精子由来の酵素・タンパク質などの基質が備わっていなければならないというのはそのとおりだと思います。

ところでこの村田さんの回答は鈴木さんの6975
>受精の際精子の細胞質は分解されてしまうのではなかったでしょうか?<
ということに関してですね。受精といえば、
 
「卵子は顆粒細胞と透明体という二種類の防護膜でがっちり守られている。(中略) 第一ステップは、精子が卵子の外側の防護膜である顆粒細胞を突破し、それに続いて、分解酵素を放出して内側の防護膜である透明体の一部分を溶かすことである。こうして精子は卵子を包んでいる細胞膜に達する。第二ステップは、精子の細胞膜と卵子の細胞膜が接触することによって、互いの膜が溶け合うことだ。これを融合といい、この瞬間から受精が始まる。融合によって精子の頭部が卵子の内部に取り込まれる。(中略) 精子は染色体を卵子の内部に送り込むことに成功した。受精から8〜12時間たつと、卵子に入った精子の頭部は溶けて核が残る。」(『生殖革命』生田哲 より抜粋)

この生田の紹介でも「精子の頭部は溶けて核が残る」としているのですが、少し精子の核だけが協調されすぎているきらいがあります。卵外被を通貨後の(細胞膜)融合の段階では精子は頭部から丸ごと卵に吸い込まれるという方がより正確なのではないかと私は思います。正確には「頭部が解ける」のではなく、まず細胞質の段階で協同体が成立したと見るべきではないでしょうか。また、実際に受精というとすぐに男性由来の遺伝子と女性由来の遺伝子が混ざり合うイメージがありますが、これは受精後約03時間が経過した後の最初の細胞分裂によって胚ができた時の話です。だから、融合後しばらくは当然男性由来の遺伝子とそれを維持する(協同する)基質は備わってなければならないことになります。そして、基質の段階で、協同作業が起こるということでしょうね。

ところで、参考までに核の融合の話ですが。核(正確には前核)の融合の際は精子と卵のそれぞれの核膜がかみ合い、中心小体が複製し、核膜が分散して、卵と精子由来の染色体が一個の紡錘体の中央部に集まる…(図がないとしんどいですねえ)。精子が持ち込むものの話として、DNAだけでなくどうやらこの中心小体の存在も指摘されているようです。
 
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