生物の起源と歴史
76466 哺乳類オスの庇護本能について
 
村田貞雄 ( 57 静岡 企画 ) 04/08/14 PM08 【印刷用へ
庇護本能、それもオスのメスに対する庇護本能をどう見るかですね。

本能を議論する際に、二つの視点を考えておく必要があります。

各進化段階の生物に原理的にいえる「構造」と、その原理・構造が、個々の生物で、行動様式として固定されている(観察報告がされている)具体性という二つの位相がある事です。

庇護本能の場合、これぞオスのメスに対する庇護本能という行動様式は少ない様に思います。

現存する一般哺乳類では、主な外圧が、種間圧力となる。つまり、捕食・非捕食の関係です。強い肉食動物が、草食動物を捕食する。草食動物はその圧力の元で、繁殖するという関係です。

この捕食動物の攻撃に対しては、闘争存在であるオス(草食動物のオス)でさえ、無力です。ですから、攻撃に対しては、オスもメスも一斉に逃げる行動が一般的です。

ですから、一見すると、主要な外圧に対して、哺乳類のオスはメスを庇護しない様に見ます。

しかし、果たしてそうだろうか。

哺乳類の雄雌原理は、「内雌外雄」です。つまり、雄の方が、大きな縄張りを確保して、その縄張りの中で雌の出産・子育てが行われる。

雄は性闘争本能で自らの広い縄張りを確保する。この広い縄張りで存在すること自身が、外圧に対応している(闘争している)事になります。

雌は、雄の縄張りに包摂されている事で、発情・妊娠・出産・子育てが可能となります。(なお、人工飼育で雌だけで育てると排卵さえ起こらない様ですね。)

哺乳類の雄雌原理=「内雌外雄」そのものが、雄が雌を庇護している。その意味では、哺乳類のオスには、庇護本能がセットされていると言えます。

潜在的に備わっているなら、具体的行動様式として発現し、固定化している事例がある筈です。

二つの事例が挙げられます。

一つは、ジャコウウシのケースです。北極圏に棲む草食動物のジャコウウシは、捕食者であるオオカミに対して、雄が外側に円陣を組み、雌・子供をオオカミから守ります。(参考53170)

もう一つは、ハイエナに対する雄ライオンのケースです。ライオンは基本的に敵なしですが、群れで肉を掠め取りに来るハイエナは、最も厄介な敵です。このハイエナの攻撃に対し、雌ライオンでは追い払えず、雄ライオンが登場して決着させる。(但し、雄ライオンでさえ、肉を取られてしまう事がある。)

他にも、注意深く観察・報告されていれば、雄の庇護本能といえる行動様式があると思います。

やはり、哺乳類の雄には、(雌=子供に対する)庇護本能がセットされていると言えます。

但し、庇護行動として顕在化するには、雌・子供と常時集団(群れ)を作っている、そして、群れの中で、雄が外圧に立ち向かう存在であるという条件が加わりそうです。

(人の庇護本能は、群れ行動・集団での有り様の中で、考えるのがよいと思います。)

 
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