生命原理・自然の摂理
68060 雄雌の存在について@ 進化過程での性と雄雌の登場
 
村田貞雄 ( 57 静岡 企画 ) 04/02/17 PM02 【印刷用へ
確かに、何故、生物(動物)には、雄雌分化があるのか、簡潔に答えるのは難しいですね。

雄と雌の分化は、生物進化の中でも、根源的で総合的(積み重ね的)な出来事です。

3つ程の生命構造の転換が係わっていますね。

まず、原核生物から真核生物への転換。細胞質の中に、ゲノムが裸で存在する『原核生物』から、核膜の中にDNAが存在する『真核生物』への転換です。大きさのスケールで行くと、長さで10倍、体積では1000倍にも大きくなります。スケール感からみて、生物界には、2種類の階層が登場した事になります。

真核生物は、その大きさによって、原核生物を包み込み捕食する位置を獲得したと云えます。対して、原核生物の方は、大きな真核生物の細胞膜を食い破って、餌にする方法を磨いていく事になります。(これが、感染・病気の原点ですね。)
また、原核生物のゲノムは1セット(1n−ハプロイド)。真核生物は、2倍体・2セット(2n−ディプロイド)ですね。そして、1セット・1倍体の原核生物が、生命の根源的位置です。

この真核生物の段階で登場するのが、『性』です。接合という、二つの真核生物が、合体して核の遺伝子を交換し合いますが、その際に接合する相手を選択している。接合する相手を選択するという意味で『性』の登場と言われている。例えば、ゾウリムシでは、この接合の組み合わせが、10通り以上あり、多数の性が存在する。
ゾウリムシは、細胞分裂により増殖できますが、その無性的な分裂回数は、限界があります。必ず、接合しないと、新たな再分裂できません。2倍体である真核生物は、進化過程を1段階進んだが故に、いつも、根源的な相に戻らないと、生命力を再生できない。接合は、1倍体の原理に戻っているといえます。

次が、多細胞生物の登場です。多細胞生物の段階では、分化と統合の原理から、細胞の役割分担が進む。しかし、ゾウリムシで見たように、同類他者(次の世代)を生み出すには、根源生命体である『1倍体』の相に戻る必要があります。その役割を担っているのが、生殖細胞です。まさに、卵子、精子という1倍体の細胞を生み出す役割に特化している。

この多細胞、生殖細胞(生殖器官)の登場段階で、始めて『雄雌(器官)』というものが登場します。

その際に、何故、一方の性(雄・精子)は、運動性に特化したのか。もう一方の性(雌・卵子)は、安定性・保存性に特化したのかが不思議です。

1倍体生物(原核生物)の原理をみて見ると、そこには、運動性の原理と保存性の原理が存在する。鞭毛等をもつ原核生物は、まさに、自ら探索、動き回る事で適応している。一方、運動性を持たない原核生物は、周囲の環境に対して、受身だが、その受身で必要な機能を高度化し、安定性・保存性で適応している。

この原核生物界(生命の根源的な位置)の二つの存在様式を、多細胞生物が、生殖細胞(1倍体相への回帰)の原理に取り込んだのが、多細胞生物の雄雌(精子・卵子)の原理だと思います。

最後は、多細胞生物には、雌雄同体の生物と雌雄が分離した生物がいます。例えば、円形動物のミミズや脊索動物のホヤは雌雄同体です。1匹の個体の中に、精子を作る生殖器官と卵子を作る生殖器官との両方を持っています。それより進化した動物では、生殖細胞は、精子を作る生殖器官と卵子を作る生殖器官の一方しかもたなくなります。

ここでも、何故、雌雄同体から雌雄分離体へ進化したかが問われます。
それは、やはり、雄雌原理である『運動性』と『安定性・保存性』の原理を、個体(成体)にも貫徹した方が、より分化・統合が進み、適応力を増したからだと思います。

個体が一方の生殖器官しかもたなくなる進化段階で、初めて、個体としての雄・雌が確立します。

多細胞生物で、雌雄分離した生物が登場したのは、多分、多細胞生物が爆発的に進化する『カンブリア紀』だと推測します。生命誕生が約38億年前、カンブリア紀が6億年前ですから、雄雌分化には32億年の生命進化の根源的な原理が全て組み込まれていると思います。

ですから、感染・病気への防衛も一つの原因・理由だとは思いますが、それだけで、性と雄雌の登場にはならない、もっと根源的な原理が含まれています。

 
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