マスコミに支配される社会
67046 1972年における政治とマスコミの「主従逆転」
 
阪本剛 HP ( 30 千葉 SE ) 04/01/20 AM02 【印刷用へ
 政治とマスコミの権力構図の転換を象徴する事件が、1972年にある。
 1972年6月17日、首相官邸で退陣表明記者会見にのぞんだ時の首相、佐藤栄作はこう言ったのである。
 「テレビはどこだ」

 この言葉は、同年の流行語になったが、この言葉の全文は以下の通りである。

『テレビカメラはどこかね。そっち?テレビカメラ、どこにNHKがいるとか、NET(現:テレビ朝日)……どこになにがいるとか、これをやっぱりいってくれないと、きょうは、そういう話だった。新聞記者の諸君とは話をしないことになっている。ちがうですよ……。
 それだけにしてもテレビをだいじにしなきゃダメじゃないか。テレビはどこにいるかと聞いているのだ。そんなスミッコにテレビおいちゃ気の毒だよ。テレビにサービスしようというんだ(笑声)。それをいまいっている。
 テレビどこかはっきり出てきてください。そうでなきゃ、ぼくは国民に直接話したい。新聞になると、文字になると、ちがうからね(一段と語調を強め、キッとなる)。
 ぼくは残念ながら、そこで新聞を、さっきもいったように、偏向的な新聞はきらい、大きらいなんだ、だから、直接、国民に語したいんだ。テレビをだいじにする。そういう意味でね、直接話をしたい。
 これ、ダメじゃない。やり直そうよ。帰ってください。記者の諸君。(両手をひろげながら)少しよけて、まん中へテレビをいれてください。それをお願いします』
資料:リンク


 つまり、新聞の偏向記事を通さずに「直接」で話せば、国民はわかってくれる、だから、テレビを大事にするのだ、というわけである。この意味不明な記者会見は大いに失笑を買った。

 佐藤は、電気通信大臣時代、猛烈なマスコミ統制を行っている。放送中止、番組中断は当たり前。解雇、報道部解体もしている。
 それが、いつの間にか、主従逆転し、自分の意志を伝えるためにテレビに頼る羽目に陥った。今日、政治家がテレビ討論会に出るのが当たり前になった状況の端緒がここにある。
  
 
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