財務省が2003年11月11日にまとめた試算結果によると、厚生年金の給付額の約3割強は、財源の裏付けがないまま支給されているという。要するに、払いすぎているのだ。
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現在、サラリーマン世帯夫婦二人のモデルでは、年額280万円強の厚生年金を受け取っている。その1/3にあたる95万円は、保険料・税金など財源の裏付けがない。
旧厚生省「年金白書」(1999年)のデータによれば、70才の夫婦で、1300万円の保険料負担で、6800万円の年金を受け取っている。給付額は負担の5倍以上になる。
その孫の世代の10才の子は将来、7500万円の保険料負担で、4900万円しか受け取れない。
世代間の不公平
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なぜ、このような債務超過状態に陥ったのか?理由は、少子化、高齢化、積立金運用の失敗などがあげられているようだが、それだけではない、さらに本質的な原因があると思われる。
実は、制度発足当時から、具体的な財源見通しを考慮しないまま、高給付を約束していたことにあるようだ。正確を期すと、1942年の厚生年金(労働者年金保険)発足当時は、各自保険料を積み立てておく積み立て方式だった。しかし、敗戦後のインフレで積立金が目減りし、かつ、高度成長期に給付水準が上がったために、なし崩し的に現役世代の保険料が高齢者に支払われる賦課方式化していったらしい。
公的年金の財政方式
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2000年の当時の厚生労働省編の資料によると、既に納付された保険料に対して支払いが約束されている給付債務は720兆円。
そのうち、財源的裏付け(積立金+国庫負担金)は、270兆円だから、差額分の450兆円の債務超過状態にある。
しかも、将来分でも、80兆円の債務超過額がある。過去と将来を合わせれば、530兆円になる。
問題は、厚生年金だけではないらしい。国民年金でも、過去拠出対応分で39兆円、将来拠出対応分で23兆円、それぞれ債務超過が試算されている。同様の問題は、共済や農林年金も抱えていて、この二つでおよそ100兆円の債務超過になっている。
共済、農林、厚生年金と国民年金をあわせれば、債務は700兆円を越える計算になる。
厚生年金に関する年金給付
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厚生年金の債務超過に目を向けよ(「日本の論点 2004」)
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年金制度のバランスシート
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