企業を共同体化するには?
6002 [効力感」の得られる社会の実現を。
 
槇原賢二 ( 30代 大阪 塾講師 ) 01/07/14 PM09 【印刷用へ
人々のそして、子どもたちの効力感を育てていく試みは、人々が効力感を持つことを可能にする社会機構や文化的風囲気をつくりあげていく試みと同時に行われていかなければなりません。

なぜなら、子どもの効力感を育てる場を作ろうと試みても、社会にそのような土壌がなければ、そのような試みは社会からの圧力で事実上禁止されてしまうからです。また、効力感を育てていく教育を受けた子どもでも、社会に出て食べていけないと思えば、その効果はうすめられてしまい、「檻」に入れられた生活を選択することになります。

効力感をもたらす社会の条件として、以下の2点が必要です。
@誰もが、自発的にかつ持続的に取り組める課題を見つけられ、その課題での熟達が、創造の楽しみ、他者に貢献しているという喜びをもたらす。
A熟達にともなう内的な満足やまわりからの「実感ある評価」が得られる。富や地位といった外的な成功・失敗にこだわらなくても、活動していける。

上記の条件が充たされないとき、人々はどのような道を選ぶでしょうか。おそらく、外的な成功などを動機付けとして生きていくことになります。あるいは、せめて安心感を確保しようとする生きかたを選ぶかもしれません。しかし、現代社会では、安心感を得ることとは、結局は、外的成功をおさめるという形態をとらざるを得ません。安心感を得るには、お金が必要だからです。いづれにしても、結局のところお金のために権力を手に入れるということです。そして、職業とは、それ自体のもつ価値ではなく、最も効率よく所有・権力の欲求を充たしてくれるものこそが好ましいと評価されていくことになります。

これまでの投稿で考察してきたように、知的好奇心などの内的動機付けと報酬などの外的動機付けは、加算的にはたらくのではなく、外的動機付けがあまりにも強くはたらき続けると、そのうちに、内的動機付けはその力を失ってしまいます。所有や権力を求める志向が強くなりすぎると、はたらくことでもたらされる熟達、他者への貢献といった充足感は味わいにくくなり、これがより内的動機付けへの志向をさらに弱めてしまいます。

さらに、外的動機付けの特徴として、成功の効き目が長続きしないことがあげられます。だから、成功などの外的動機付けによって効力感をもち続けるには、絶えずチャレンジし、絶えずより大きな成功を目指さなければなりません。成功し続けている限り、彼らは効力感を持ちつづけることができますが、それが無理とわかった人々は希望を失って無気力になるわけです。

また、現代社会は、基本的に、生産第一の管理社会です。生産性を高めることが、みんなの幸福につながる、と仮定されてしまっています。生産性を高めるために行うことが「管理者」によって定められ、評価されます。管理社会では、有能な管理者とは、生産性が最大になるように、人々を選別し、仕事を与え、その成績を評価していく人にほかなりません。そして、管理社会は、本当の意味での人々の熟達を歓迎しません。管理者が要求するのは、自律した熟達者ではなく、あくまで管理された限りで有能さを発揮してくれる優等生なのです。

そして、何事によらず、生産者は比較的一部の人々で、それが、多数の消費者の需要をまかなうしくみになっています。知的生産の場合も知識を作り出すのはほんの一握りの「科学者」と呼ばれる人々であり、それ以外の大多数は、生み出された知識の消費者としての位置を与えられているにすぎません。彼らは「教え手」という仲介者を通して、与えられた知識を吸収するにすぎない存在とされてしまいます。

このような社会では、誰もが効力感をもって生きていくことは不可能です。上記@、Aの条件を満たす社会を実現していくことがぜひとも必要に思います。
 
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