生物学を切開する
5903 Re>間違っていますか>後藤さん
 
吉国幹雄 ( 48 鹿児島 講師 ) 01/07/09 PM02 【印刷用へ
後藤さんこんにちは。どうも、少し飛躍があるようなので…。

>多くは共生死したが、ひとつの固体が共生を獲得し、それが分裂して多くの共生体が発生したとしても、そのような進化過程はちょっと考えにくいのです。<(5898、後藤さん)

私は5790で「一つの個体が共生を獲得して」というようなことはひと言も申しておりませんが…。共生死と集団進化・集団発生とは矛盾するものではありません。また、共生によって自分が違うものになるということに伴う転換(不連続線)の問題と、不連続線を超えた段階での話とは違うと思います。どの集団においても、違う生命体と生命体が一つの膜の中で共生しようとすれば、その生命システムの根底的な組換えが発生するわけで、不連続線での戦略が死(滅亡)をかけたものであったと思います。そして結果的に、不連続線を越えた個体の属する集団は集団単位で超えただろうし、逆に、共生に失敗した個体の集団はほとんど絶滅したということでしょう。

>「共生死」したということですが、もし古細菌のなかの同種が共生死するとしたら結局はこの世にはその状態では存在し得なかったと思うのですが。たとえば進化は場所が離れていても、すなわち、隔離された環境にあっても不思議なことにほぼ同じ進化が起きるらしいです。<(5898、後藤さん)

だから、この問題は人類(裸のサル)の起源の議論と同じことです。多くの集団は絶滅した。しかし、ほんの一部の集団が不連続線を突破したということでしょう。ミッシングリンクの問題ですね。(共生説でもこのような途中段階の生物がいないなんて言われていますが)。多くの種の古細菌は死滅したのでしょうね。

進化は場所が離れていても、ほぼ同じ進化が起きる、という指摘だけでは正確ではないと私は思います。後藤さんは、他の大陸から隔離されていったオーストラリアの動物達の話をイメージされているのでしょうか。系統的に遺伝子型態的には違うのに、形態的にはそっくりな動物達の話…。あるいはオサムシなその平行(放散)進化のイメージでしょうか。それともバクテリアの平行移動の話…?

異なる環境に対して適応戦略をとるということは必然的に可能性の収束先が変わってきます。だから、異なる環境によってさまざまな亜種が見られるのが事実です。しかしまた、蝶々が環境を変えてトンボにはならないのも事実です。それは生命体が塗り重ね構造をとっている限り当たり前のことでしょう。ホメオティック遺伝子をみてもわかるように、遺伝子的にも根源的な構造遺伝子は共通に使われているわけです。先端部分の遺伝子や形態は(絶えず変化する)環境に対して変わっていくということでしょうか。そして、構造遺伝子や遺伝子の抜本的な組換えと取り入れのような大変化は、環境の大きな変化の時に一斉に起こったのでしょうね。

>現在臓器移植が行われていますが、なかなかうまくいきません。他人の臓器はそれぞれ異なったDNAを持っているので、免疫を使って拒絶反応を起こします。しかしこれを繰り返していけば、いつかはどんな臓器移植にも拒否反応を示さなくなるとは思えないのです。つまり、できないものはできない、できるものは即実行に移すと考えてしまいますが、間違っていますか?<

ネズミの尻尾を切るような問題提起ですが…。免疫系の認識系を破壊しても大丈夫なんて誰も言っておりませんが…。それはさておき、「できるものはできるできないものはできない」ということは間違っているか、ですか…。生命体は変革可能性を秘めた(活性度をもった)適応態であるので、変わらないものは変わらないのだという指摘は事実ではないし、それでは生命体は絶滅します。しかし、生命体は進化積層体であって、秩序安定を秘めた適応態です。その生命のもつ根源的な基本戦略(例えば認識機構)を変える、捨てるということはまた絶滅の危険性を孕みますが。
 
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