’70年貧困の消滅と私権の衰弱
58648 70年貧困の消滅により私権規範と身分意識が凋落した
 
山澤貴志 ( 38 鹿児島 ITコンサル ) 03/07/14 AM03 【印刷用へ
この疑問を考える上で、前述の太田氏、森氏の発言に代表されるような私権規範(とそれを支える特権的な身分意識)は人権等の近代思想以上に大衆的に受けが悪いという点が鍵になると思います。この私権規範、身分意識の凋落を戦後政治家の語録を紐解きながら考えてみます。

貧困が厳然としてあった70年までであれば、「貧乏人は麦を食え」といった特権的な身分意識まるだしの発言(池田首相’50年)も可能でした。池田首相にはこの他にも「(中小企業の)五人や十人倒産し自殺しても国民全体の数からみればたいしたことはない。国家財政をたて直すという基本政策のもとで多少の犠牲はやむをえない」という発言もある。(いずれも分相応、貧乏人は黙ってろ!という「私権規範」を下敷きにした発言である)
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ところが70年貧困の消滅を境に政治家は大衆迎合一色、公共工事と福祉主義の大判振舞いとなります。(72年田中角栄「列島改造論」発表)「政治とは何か。生活である。政治とは国民の暮らしをよくするためにある。わが国は発達した議会制民主国家であり国民の知的レペルは高い。こうした国で政治が国民の手の挙げかた、足の運びかたまで指図する必要はない。政治の仕事は国民の邪魔になる小石をたんねんに拾って捨てる。国の力でなければ壊せない岩を砕いて道をあける。それだけでよい。」という田中角栄の言葉からは、大衆を被支配者として見下ろすのではなく、民主国家=共認の主役である国民の御用聞きとしての政治家がイメージされます。

この統合階級の政治意識変化の背後には「貧困の消滅によってもはや私権規範(貧乏人は黙ってろ)では統合できない」という状況認識があったと思います。
 
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