人類の起源と人類の拡散
58456 耳ざわりのよい言葉
 
田野健 HP ( 40 東京 監理 ) 03/07/10 PM11 【印刷用へ
ここでキーワードとなるのが「共生」というところ。森林との共生、自然との共生、それが出来ないと文明は滅んでしまう。考えると当然のことかとも思います。またこの中でも、「アイヌの習慣」は興味深いです。この一文からのみですが、自然と、生態系全てを包括した社会観(?)をもっているというか、自らの存在を集団としてではなく、生態系の一部として捉えているような感覚を受けました。 (58341)

「共生」とはなんなのでしょう?
共生思想についての欺瞞性は以前の投稿の中でかなり議論されています。
遡っていくつかの投稿を参照されたいと思います(37014北村氏、36721岡本氏)
アイヌ社会や江戸の文化を持ち出して共生を正当化する類の議論は耳障りがよく、ついキーワードは共生!って思い込んでしまうのですが、大きな落とし穴です。自然を破壊してきたのは共生思想が欠落していたから、だから共生思想を持った社会を作りましょうでは何も解決しないのです。

>従って、精霊信仰から「自然との共生」なる概念や思想は生まれません。自分たちを遙かに超えた超越存在たる自然を畏れ敬い、自分たちの生存の願いに応えてくれる自然に対して祈りや感謝こそすれ、「共生」している、つまり相互利用(or取引)の関係との発想は出てきません。そもそも自然現象には地震や雷や洪水もあり、逃避するしかない外敵も存在するわけで、それらとは到底「共生」できるはずがありません。ひたすら畏れ敬い凝視するしかなかったはずです。(36721)

>「自然との共生」観念はおそらくは自然破壊に対する「反」の思想として登場したものと思われます(同36721)。あるいは都市という人工的なバリアが拡大したことに伴って、日常的には生々しい自然圧力を実感できなくなったことを背景に登場してきた観念です。言葉を代えて言えばそうであるがゆえに、それらの現実の自然圧力の具体性を捨象し、抽象的な観念として登場しえたと言ってもよいかもしれません。しかし「自然」という観念の抽象化も、あるいは「共生」と言う一律さ=固定的価値観念性も、人間から対象に対する具体的思考を剥奪します。(37014)

自然圧力とは現在でも圧倒的に人類にかかっており、真っ当に圧力を捉えたら「共生」などという発想は到底出てこないと思います。環境破壊の外圧は年々、日々確実に上昇しています。
その事実を棚上げにしてお茶を濁すのが共生思考の際たるものなのです。
アイヌは自然と共生したのではなく、精霊信仰の中で自然という対象を畏れ敬い凝視した結果、自然の摂理を認識したに過ぎないのです。

友好とか交流とかの耳障りの良い言葉も同様に危険です。私権時代の取引関係の延長であるそれらの概念を無意識に取り入れていないか?我々がこれから交流会活動をしていく中でも常に心しておく必要を感じます。
事実を畏れ敬い認めていく、その関係の中にしか本当の交流の目的はないと思います。
 
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