私権原理から共認原理への大転換
5573 「檻に入れられた」心
 
田中素 HP ( 35 長崎 企画 ) 01/06/25 PM10 【印刷用へ
5542の続きです。

“「ムチ」と「ニンジン」でしか動けない人間とは、檻に入れられたネズミと同じである。”

これが、『人は「ムチ」と「ニンジン」でしか動かないのか。』の一連の投稿で槇原さんが述べられたことの一つの答えではないかと思います。どうすれば、好奇心・向上心・向社会性といった、人に本来備わっている筈の「内発的動機付け」を働かせることができるようになるのでしょうか。

槇原さんも例に出されていた「労働」という観点から考えてみたいと思います。

>分業と大量生産方式のよる生産では、労働者は全生産過程の一工程を受け持つにすぎず、全体の計画がどうなっているか知りません。むしろ、知らないように仕向けられていました。また、生産物は資本家のものとなります。したがって、労働者と生産物との間には、経済的・心理的つながりがなくなります。<(5258槇原さん)

「自らが従事する生産過程の全体像を知らない」「自らの生産物との繋がりを持たない」ことが、このような大量生産方式の労働者の置かれた状況であり、これが内発的動機付けの発現を阻害する見えない「檻」となります。

これは、自らの行為に関わる他者との関係が遮断された状態です。全生産過程を知ることとはつまり、一つのものを共に生産する仲間との関係をもつことであり、生産物との繋がりとは、それを使用・消費する人々の期待や評価を感じるということです。

逆にいえば、期待応望を活力源とする人間にとって、金銭と交換するだけの意味しか持たない労働は、軽労働か重労働かに関わらず、疎外されたものに変わりありません。それを、労働の純換金的性格はそのままに、時間や負担だけを可能な限り軽くしようとしてきたのが、近年の余暇志向であり時短政策であったと言えます。

そんなことをしなくても、生産行為の全過程をオープンにし、使用者・消費者の反応が感じられるような環境を作ることさえ出来れば、人は「内発的動機付け」を発揮して、疎外感を感じることなく、活力をもって生産行為に取り組むことが出来るのではないでしょうか。

最近のNPO活動や、先の投稿で例に出したオープンソースネットワークの隆盛は、そのような新しい生産活動の再構築が「檻」の外から始まりつつあることを示しているのではないかと思います。
 
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5673 「獲得された無力感」と「効力感」その1 槇原賢二 01/06/28 PM01

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