共認心理学:現代の精神病理
5391 感情は薬でコントロールできるが
 
藤岡聖子 ( 28 大阪 教育 ) 01/06/19 PM01 【印刷用へ
みなさん、こんにちは。
私なりのテーマ「役に立つ科学について」の続きです。

神経伝達物質、ってご存知の方も多いと思います。
神経細胞のニューロン間で信号(刺激)をやりとりするために必要な物質のことです。
50種類以上の神経伝達物質が確認されているそうですが、その働きが比較的解っているのは20種とで、精神活動の面で重視されるのはγ-アミノ酪酸(GABA-ギャバ)、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどらしいです。
たとえばドーパミンは快感を増幅する物質で、依存症などはこれが過剰に分泌されている状態だそうです。また、セロトニンは他の神経系に抑止的に働くことで、過剰な興奮や衝動・抑うつ感を軽減する働きがあるそうです。うつ状態の人はセロトニン濃度が低いのです。
そこで、うつうつとして苦しんでいる人には、セロトニン濃度を上げる薬を投与すれば、あら不思議、すっきりさわやかな気分なり、積極的で明るい性格に生まれ変わるのです。科学のおかげで、身体の病気だけでなく、気分障害までも治ってしまうのです。うーん、「役に立つ」。

でもそれでほんとにいいの?

私も「うつっぽい」人なので、セロトニン濃度を上げるだけで楽になるならほんとに文字通り「楽」だなあ、と思うけど、うつになるきっかけってたいてい実現論で言うところの「自我」であることが多いように思うから、そのときだけセロトニン濃度を上げたって仕方ないような気がします。
薬の効き目がなくなれば、また不全を人のせいや自分のせいにする「自我回路」や「自分観念」にハマって、自分だけで悩む。苦しいから薬を飲む。すごい、気分が楽になった。以下繰り返し。・・・それって、製薬会社の思うつぼかもしれないですね。

マイナス感情を発生させる神経伝達物質の発見は、科学的発想では、根本原因を発見したことになるのだと思うし、その発見を薬として「役に立つ」ようにできた技術もすごいと思います。
でもそれは、本当の意味での根本的解決になっていないのではないでしょうか。

悩める現代人を診る精神科医たちは、もちろん「薬がすべて」とは考えていません。まずは「楽になる」ために薬を処方し、マイナス感情が薄くなった段階で、その人の「考え方」を「プラス思考」に変えるようにカウンセリングをします。
それでもやはり、「根本的解決」にはなっていないでしょう。なぜ現代人にうつが多いのか、人々の不全はどこから来るのか、考え出すと必然的に社会のことや人類のことにたどり着くはずだけれど、「自分ひとりが考えてもどうしようもないから考えない」。

ちなみに、抑うつ剤にはいろんな種類がありますが、人によって効く効かないの個人差が大きいらしいです。感情は、ひとつの神経物質だけで発生しているわけではないですから。
神経物質の働きが解明できても、それらがどう絡み合って作用しているのか、環境要因なども含めるとそのすべてのパターンの解明などは、要素が多すぎて、複雑すぎて、現代科学ではきっと、ムリなのではないかと思えます。
その解明を待つより、「実現論」の以下の指摘に従う方が、きっと手っ取り早いんじゃないかと私は思っています。「実現論」(事実認識)って、「役に立つ」んだなぁ、身近なところで。

何事もまず自分から期待し応望してゆかない限り、同類圧力=共認圧力は形成されてゆかない。本当は期待しているのに、思い通りにならないとすぐに自我収束して「あんな葡萄は酸っぱいに決まっている」と相手を否定し、自分で自分の心を閉ざして期待することを止めて終えば、共認充足は得られず、そのぶんだけ自らの活力を低下させてゆく。既に新たな活力源は、同類圧力⇒期待・応望の共認充足しかない。だとすれば、何よりもまず最大の活力源としての『同類』と『期待・応望』の大切さを心に刻み、支配共認に逆らって意識的にでも心を開き、期待にフタをしないことが決定的に重要になる。
(『実現論』第四部:場の転換 ホ.支配共認根絶の共認闘争 より抜粋)
 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_5391
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
5523 目的論を持たない科学 鈴木達也 01/06/23 AM00
5457 うつ病ですか>藤岡さん 吉国幹雄 01/06/21 PM01

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp