西欧科学は狂っている
5228 Re:「科学と技術 その3」/科学者・科学者集団の特徴@
 
蘆原健吾 ( 30代前半 神戸 広報 ) 01/06/13 PM10 【印刷用へ
吉国さんは、5070『科学と技術 その3』で「科学者集団の自己閉鎖性と自己充足性」という言葉で表現されていましたが、その構造的原因の一つが、技術者集団とは異なり、需要(すなわち世間一般)から遊離していたということだと読みとりました。

>技術者は特権階級ではなかったが、科学者は生産と切り離された特権階級であったと表現してもよい

>科学においては、知識の生産、蓄積、流通、消費、評価がすべての科学者の共同体、専門家集団の内部で行われ、その集団の外部とほとんど一切繋がりがないままに進めることのできる営みだったのです。

このことをはじめとして、19〜20世紀の科学者集団に共通する意識の特徴について、『神になる科学者たち』の第7章「科学の営為とは、科学者とは何か」中で上岡義雄氏はこんなふう書いています。まとまっていて分かりやすいので、長くなりますが引用してみます。

>現代流の科学者の行動様式や規範は、19世紀半ばにその基礎が固まった。

その行動様式と規範について、彼は11点にまとめています。

>1,科学者の仕事は自然界の真理の探求である。真理探求のためには研究は自由でなければならず、基本的には外からの干渉や拘束を受けない。軍事研究など独別な例を除き、研究の自由の保証を前提とする。

5137「Re:生命倫理の問題A」にも書きましたが、最近は、研究者自身が危険性を考慮して研究の進展をセーブする、という動きもわずかながら出てきているといった感じでしょうか。

*しかし、私が5137で出したハーグの例は、冷静に考えてみると、「自分だけ研究を中断させられるのはずるい、組織を立ち上げて全研究者の研究を中断させなければ割に合わない」、というのが動機のような気がしてしまうのですが、気のせい?

真理の探求の魅力で他が見えなくなって暴走し(もちろん国家からの課題圧力もあったが)、結局人類最悪の兵器原子爆弾を生みだしてしまった科学者の多くは、それがもたらす暗黒の未来は見えていなかったと考えられます。このようなことがないよう、「研究の自由」を絶対視するのは誤りで、最終的には共認によって社会的に制御されていくべきと考えます。

>2,学会で研究成果を発表し、そこで高い評価を受けることが科学者としての評価になる。最も重要な評価軸は、オリジナリティー(独創性)があり、クリエイティブ(創造的)であり、プライオリティー(他者に先んじていること)である。科学者の世界は(中略)競争相手を出し抜くことが勝者の条件である。(中略)評価は専門領域の研究者仲間が基本的に行う。

>3,研究の報酬は、科学者としての名声・名誉、大学や研究機関などでの高いポスト、学会や財団などの各種の受賞である。

このあたりは、吉国さんの5070『科学と技術 その3』中の「科学者集団の自己閉鎖性と自己充足性」を端的に示す例だと思います。

>4,科学的な真理は一つとされている。したがって、自分の理論・説が真理である(正しい)ことを学会で認めさせることが最も重要である。批判者や反論者を激しくなじることも辞さない。論争で負けることは、理論の敗北だけでなく、科学者としての敗北にもつながりかねない。

「真理はただ一つ」というのは本当か?というのも以前この会議室で議論されましたね(集団の解体=守護神信仰→ギリシャ自然学以来の思想の影響、ということでしたかね)。
 
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