西洋医療と東洋医療
5201 専門家集団の自己完結性にひきつけて1・・「丸山ワクチン問題」
 
本田真吾 HP ( 44 香川 建築家 ) 01/06/13 AM00 【印刷用へ
鈴木さんこんにちは、やりきれない気持ちよくわかります、そのような問題がおきない社会を考えるためにもう少し原因分析が必要かと思います。さいわい、長谷川さんに丸山ワクチン問題の概要を投稿していただきましたので、このボードのテーマの一つである「専門(科学者.医師等)集団の自己完結性」にそって考えてみたいと思います。

>話を丸山ワクチンに戻しますが、これは「あまりにも単純な医薬品であるので、応用薬も代替薬も製造することが難しい」のです。しかし一旦審議会の承認が出ればシェアを延ばすことは確実なので、大手製薬にとっては拙いのです。したがって有効性を否定する大論争を起こして闇に葬る戦略に出たと思われます

> まさに大手製薬会社のエゴが丸山ワクチンの普及を妨げているのです。
5124)長谷川さん

ここで大手製薬業界の陰謀というのは一面の事実だと思いますが、私企業だけで国家の許認可権まで牛耳ることは出来ないと思います。現に、医薬品の許認可関係の法律である「薬事法」の改正により、薬価(≒収益率)は大幅に削減され医薬品流通業界も含めた再編が進み、製薬会社は淘汰の時代に入っています。(応用薬.代替薬等の価格も大幅に制限されています)理由は、膨らみすぎた医療費の削減とアメリカの市場開放圧力の2点だと思いますが、その医療費を食い物にしていたもう一つの集団「医師(だけの専門家集団)」は今のところ殆どダメージを受けていません。

そこで、製薬会社と医師の関係に注目すると、製薬会社の医薬品開発は治療に有効な物質の探索.合成と言う製薬会社単独の研究段階と、臨床試験という医師の協力がないと実現しない段階があります。この両段階での成果を厚生省が審査し許可を出します。つまり、医師は直接医薬品を開発するわけではありませんが、許可にあたっては専門家として非常に大きな力を行使できるわけです。製薬会社はそれに従わなければ生きていけないという意味で「権力」といってよいでしょう。

ところで、通常新薬は製薬会社により開発され、医師によって臨床試験を行いますが、丸山ワクチンの場合は、丸山千里博士が臨床経験から発見したヒト結核菌からの主要抽出物の希釈剤という簡単なものですから、製薬会社の技術力も殆ど不要(保存や大量生産の技術以外は)で、医師が自力で生産できるようなものです。

よって、ゼリア新薬はその出来上がった薬の種を、新薬として許可を得るため等の一部業務を担当しただけに近く、同業他社が莫大な研究投資をして新薬開発しているのに比べれば、特異な状況にあったといえます。当然他社からのやっかみはあったでしょうし、ゼリア新薬は30前後の医薬品専門業者のうち20位くらいの売上の小さな製薬会社ですから、大手製薬会社から見ればなんとしても新薬認可を阻止したかったでしょう。

そのような状況に加えて、発見者の丸山千里博士は癌専門医ではなく、癌に関しては門外漢だったのです。たまたま、結核患者には癌が少ないという事実から、結核になった状態を再現するような薬で癌の進行を止められるのではないかと考えただけなのです。一方、癌の専門といえば国立がんセンターを中心に、国家が後押しする最先端医療として莫大な投資を行い、全国の医師の注目をあつめ、専門家内のヒエラルキーの頂点の一角をしめます。そこに、門外漢の無名の医師が癌特効薬を発見したと報告をあげたのです。
 
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