学者とマスコミが人類を破滅に導く
5146 Re.沈黙>野村さん
 
田中素 HP ( 35 長崎 企画 ) 01/06/10 AM03 【印刷用へ
野村さんの沈黙の話を読んで、この間聞いたある話を思い出しました。最近の若い女の子同士が知り合う時の「おしゃべり」の頻度の話なのですが、次第に打ち解ける段階で彼女達のおしゃべりが活発になるのは当然として、親密さが増していくと、今度は逆に口数が少なくなっていくのだそうです。

おしゃべりというのは、互いを深く理解するための過程であり、十分それが為された後には再び沈黙が来る、という訳です。

一方、昨今の家庭問題や教育問題が議論される中で、「家族の会話や親子の会話が極めて重要である」という意見をよく耳にします。これはこれで真っ当な意見のように思えます。どうやら沈黙にも、いわゆるディスコミ状態の沈黙と、言葉が不要なまでに共認充足と安心感が深まった沈黙の状態との2種類があるようです。

ところで、「明文化された法規制が少なければ少ないほど、その国は成熟している」という考え方があります。そのような国では、規範が不文律として社会の構成員の中に十分内在化しており、逆に、あらゆる物事に対して明文法と罰則がこと細かく規定されているという事は、そのようにしなければ秩序が保たれない未熟な社会だというのです。

私は、この2つの事例は、共認というものの持つ特性を良く表しているのではないかと思います。人間は観念動物だから互いを理解するのに言葉が非常に重要なツールとして機能しますが、もともと共認というのは言語以前の世界ですから、それが深まれば深まるほど、多くのことを口にする必要は薄くなっていくのかも知れません。

一緒に住んでいながら会話の無さに不安を覚える家族たちは、この深い共認の段階に至る前に、互いの捨象というディスコミの沈黙の方に関係が傾いてしまい、本当に必要なことまで伝えることが出来なくなってしまった姿なのではないかと思います。

言葉が全く不要になるなんてことは有り得ないでしょうが、このような本源的な「沈黙」=言葉以前の共認の充足というものの大切さを理解できる「成熟した」社会にしたいものです。また逆説的ですが、そのような理解を進めるための「言葉」が、今の饒舌すぎる社会には必要なのではないかと思います。
 
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