次代の活力源は?
51277 「実現的人間は、自分自身のことを超えた目的に関心を寄せている」
 
阪本剛 HP ( 29 千葉 SE ) 03/03/08 AM02 【印刷用へ
 自分探しの本や、自己啓発セミナーの中で、よくマズローの「欲求の5段階説」が引用されるらしい(ネットワークビジネスでも使われるのを見たことがある)。
 人間には、生理的欲求、安全の欲求、親和・所属の欲求、承認の欲求(評価されたいetc.)の次に、自己実現の欲求があって、「あなたも、がんばって自己実現しなさい。自分のやりたいことを見つけて、自分の目標に向かって頑張りなさい」と説得するわけである。

 しかし、マズローは、自分のやりたいことをやれとも、自分の目標に向けて頑張れ、とも言ってないらしい。

 マズローはこう言っている。
「自己実現的人間は例外なく、自分自身のことを超えた目的に関心を寄せている」
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「自己実現は、利己―利他の二項対立を解消すると共に、内的―外的という対立をも解消する。なぜなら、自己実現をもたらす仕事に取り組む場合、仕事の大義名分は自己の一部として取り込まれており、もはや世界と自己との区別は存在しなくなるからである。内的世界と外的世界は融合し、一つとなる。」
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「自己実現する人間の正常な知覚や、平均人の時折の至高体験にあっては、認知はどちらかといえば、自我超越的、自己忘却的で、無我であり得るということである。それは、不動、非人格的、無欲、無私で、求めずして超然たるものである。自我中心ではなく、むしろ対象中心的である。」
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 マズローの語っているのは、世間で言われている自己実現とは、かけ離れているどころか、正反対のイメージなのである。

 もともと、マズローは、人間の欠陥、マイナスばかり見る既存の心理学に違和感があり、本来の人間はどういうものであるか、という観点から、実際に生きているまっとうな無名・有名な人たちを観察して、探求したらしい。
 マズローは、自分の枠を越えた目的、対象に向かうこと、己と他人の「二項対立」がないことが、本来の人間のあり方であるというのだ。(晩年、5段階の先には、「自己超越」があると言っている)

 しかし、「自己実現」という言葉は一人歩きして、自己を正当化する言葉として曲解され、流布されるようになる。

「自己実現」という言葉についても、マズロー自身は「個人主義ととられることは自分の本意ではないが、誤解される表現だった」と言っている。
 「わたくしがいくら注意深く努力して、自己実現する人が愛他的で、献身的で、自己超越的、社会的であるなどと経験的事実を述べても、」
 「愛他的というより利己的な意味にとられる。人生の課題に対する義務や献身の面は希薄になる。他人や社会との結びつきをかえりみないばかりか、個人の充実がよい社会にもとづいている点を看過する。非人間的な現実のもつ強要的性格や本質的魅力、興味を無視する。無我と自己超越の面をなおざりにする。それとなく能動性を強調し、受動性、受容性について価値をおかない」
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 「『自己』実現」という言葉を使ったことが曲解の直接の原因のようだ。いっそのこと、「自己」を取って、こういったほうがすっきりするかもしれない。

「実現的人間は例外なく、自分自身のことを超えた目的に関心を寄せている」と。


 
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