生命原理・自然の摂理
44414 脳構造についての視点
 
北村浩司 ( 壮年 滋賀 広報 ) 02/11/24 AM06 【印刷用へ
ミラーニューロンの機能について話題が続いている。私も、このミラーニューロンが共認機能と密接に結びついていることはほぼ間違いないと思う。
ただ脳科学を引き合いに出す上で、注意すべきことがあると思う。
現在の大脳生理学は概ね、脳のこの部分が○○という特定の機能を担っている、という記述がなされている。つまり現在の脳科学は「機能局在論」の視点に立っている。この局在論の視点は、近代科学の土台にある要素還元主義の思考を引き継いだものである。

私はこの視点は根本的に誤っているのではないか?あるいは相当の偏りがあるのではないか?と感じていた。なぜなら神経細胞それ自体が情報伝達という形で、身体の各機能を統合するべく登場してきたものであり、その神経細胞が集中した脳そのものもそれ自体統合機能であるはずだからである。
もちろん脳科学でも(情報の)統合について言及はされている。例えば大脳では連合野がそれを担う、という記述である。確かに脳では各機能の高度化のためにある程度の専門分化が成されていることは考えられる。
しかし、脳そのものが塗り重ねによって発達してきたことも明らかで、統合機能そのものも、各進化段階で随所にかつ多面的に存在している可能性が高いと思う。(おそらく中枢集中情報処理とネットワーク構造の双方を兼ね備えた構造ではないかと思う。)

その意味で、ミラーニューロンの存在はこの「機能局在論」にひいては近代科学の手法そのものに、大幅な見直しを迫るものの一つだと思う。ミラーニューロンは感覚と運動の両方の情報処理を行うきわめて複雑な機能を有しており、局在的でなく、システム的に働く。かつ「自己」の行為と「同類他者」の行為を結びつける。

ただそのような機能を有するものは、このミラーニューロンだけとは必ずしも限らない、と思う。このような感覚と運動機能、あるいは自己の行為と同類他者の行為、を結びつける機能は他にも存在する。例えばそれは親和機能(哺乳類の母子間や犬のジャレ合いなど)や追随本能(同類の行動に合わせて行動を起こす機能)である。これらも同様にそのような統合機能を担っている。かつこの二つが共認機能の土台にあることも明らかである。これらはそれぞれ別の適応必要性から登場している。だからその機能は、脳の部位においては別々の場所に存在するかもしれない。しかしこれらも統合機能であり、かつミラーニューロンと何らかの形で連関(ネットワーク)し合っている可能性が高い。

脳回路論は意識構造を神経回路という実態に還元し、意識構造をより明快にしていく議論である。それに言及する場合、脳全体が統合機能であり、統合機能は多様にかつ相互連携的に存在するという視点が重要、ということを強く念頭におく必要があると思う。
 
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