生物の起源と歴史
41166 免疫の進化は5段階、それは分化と統合(柔軟性)の歴史
 
吉国幹雄 ( 50 鹿児島 講師 ) 02/10/01 PM00 【印刷用へ
免疫系の進化に関連して、(41095)で村田さんも詳しく述べられていますが、過去MSG(53895394)でも少し触れていますので、参考にされたらいいと思います。ただし、免疫進化を俯瞰した記述はほとんど見たことが無いので、直観的な部分もありますが以下にまとめてみました。

大きくは以下のようになるのではないでしょうか。

1.多細胞化と共生化の進化段階
2.神経細胞(ホルモン細胞)が機能分化していく段階
3.脊椎動物の段階
4.恒温動物の段階
5.人類の段階

1のイメージは、自然免疫(第一の免疫系)の代表であるマクロファージ(おそらくは原始真正細菌)。微生物を食べるというこの細胞を取り込んで微生物や異物から防衛する(マクロファージにとっては、えさが手に入る)共生戦略の成立があったと思います。この免疫系はその意味では、極めて単純な応答関係の免疫反応(難しく言えば、非特異性免疫)であったと言えます。

2の段階で、いわゆるT細胞などのリンパ球の獲得免疫が登場します。ミミズ(環形動物)とヒトデ(棘皮動物)では皮膚移植で拒絶反応が起こりますので、この無脊椎動物あたりから、おそらく第二の免疫系が発達したのではないかと思います。いずれもホルモン系の機能分化が進み、神経系が発達し始めた生物です。

免疫系の著しい発達は、脊椎動物以降に顕著になったと言われます。この第3段階において、獲得免疫系の2種類の免疫反応システム(B細胞による体液中の液性免疫と、T細胞による主に細胞内の免疫反応である細胞性免疫)の基本システムが出来上がったと思います。(村田さん紹介の魚類の免疫サイトも参考になります)T

1から3の段階というのは、当然のことながら生物進化と免疫進化がパラレルに進んでいることを示します。様々な免疫物質(専門分化)を生み出し、と同時に免疫応答の仕組みを高度化(統合化)していく流れにあります。もちろん、長谷川さんが以前問題にされた「生物の柔軟性」と同様に、私は結論的には「免疫系」は排除能力を高めていったのではなく、柔軟能力を高めていったのではないかと思います。(それは、「科学論」で展開している自己免疫や免疫寛容の問題からの推論ですが)。いずれにしろ、それは免疫の分化と統合を強めた進化であるといっても良いでしょう。

しかし、明らかな異物は排除し、共生できるものは協働者として迎えるという免疫基本システムですが、体内の恒温システムが実現されると、微生物にとっては極めて居心地の良い環境が出来上がることになります。一気に寄生者や侵入者が増大したことでしょう。本来は常駐しない微生物が細胞内や核内に隠れ住むようになる。これを認識するための免疫物質の種類も更に増え、多様性が一段と要求されることになります(認識力の向上が求められる)。実際に魚類と哺乳類とでは、抗体多様性の仕組みは遺伝子組み換えの方法が異なるようです。はるかに多くの遺伝子組み換えを哺乳類は実現しています。

ところが、哺乳類でも人類(おそらくサルが途中段階にあると思いますが)において、大脳という中枢神経が特化していきます。免疫系も神経系も極論すれば同じホルモン様物質を伝達物質・刺激物質として使っています。免疫系統と神経系統の統合が行われなければ、体内の本能系の統合が出来なくなったのでしょう。免疫システムは統合機能を大脳へと委譲していく段階を迎えます。逆に言えば、共認機能観念機能によって免疫系が強化されるようになる、それが第5段階ではないでしょうか。ところが、それが狂ってしまってきた。現在の肉体破壊・精神破壊が、それです。
 
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