人類の起源と人類の拡散
4092 人類の進化
 
岡本誠 ( 47 兵庫 経営管理 ) 01/05/14 AM02 【印刷用へ
>>(匿名希望さんの3861)「武器・道具の発明・発見(利用開始)+社会の形成→樹上にすむ必要が無くなる(外圧の低化)→足の指の退化」と考えるのが自然ではないかと思うのですが、どうでしょう?<<
に対して、野田雄二さんが3909観念機能の発達がなければ武器・道具の発明・発見はない、従って観念機能の発達を促した過酷な生存圧力(具体的には足の指が先祖返りして樹上に棲めるという武器を失った)をまず想定しなければならない、とされている説に同意します。

 また田中素さんも4079で、
>厳しい生存条件と闘う中でヒトは直立へと向かい、それが脳容量の増大や言語を発しやすい咽喉の構造変化を促して、知能と社会の発達が実現しました。<
と言われています。

 この延長で、野田さんの以下の論点について考えたいと思います。
>従来の考古学者の説では、二足歩行を始めることで手が自由になり、道具を使う手の発達が脳の進化をもたらしたとするものが多いようですが、実際に人類が特に発達させている脳の領域は、観念機能の領域であり二足歩行→道具説は信憑性が低いと思われます。<

 まず二足歩行についてですが、ナックルウォークと比較して歩行速度の落ちる(少なくとも当初は骨格・筋肉等が適応していないのでぎこちなく遅い)二足歩行に敢えて移行したのは、逃避行動を選択するより生存適応度の高い、手で棒きれ等の武器を持つ、さらに直立・手を広げることで威嚇効果が増す、遠くまでの視野が広がるといった効果を選択した結果だと考えます。さらに、極限的な不全感を解脱する必要性は逼迫しており、直立歩行訓練という単純なリズムでの足踏みは格好の解脱様式でもあり、同時に戦いの前の戦闘意欲を奮い立たせるものにもなったでしょう(足を踏みならす踊りは現存の未開部族にも踏襲されています)。

 従って、初めから脳容量を増大させて、観念機能を発達させるという目的意識はなかったと思われますが、直立することにより脳容量の増大を支えられる身体的構造を獲得したこと(しかしこれは必要条件に過ぎない)、直接的には根源的な適応欠乏に導かれて、唯一残された武器である共認機能(サルの知能進化もこれによる)をフル回転させたことが、脳容量の急速な増大をもたらしたと考えられます。

 因みに直接の先祖であるチンパンジーの脳容量は約400cc、300万年前のアウストラロピテクスが540cc、200万年前のホモハビリスが600cc(旧石器を使う)、170万年前のホモエレクトゥスが800cc(旧石器を使い、史上初めて火を用い簡単な言葉もしゃべれたらしい)、25万年前のホモサピエンスが1200cc、そして現在1300cc。これだけの急速な増大は、手が自由になり道具を使うだけでは説明困難な気がします(サルと比較してそれほどの飛躍はないからです)。やはり共認機能をフル回転させ、人類独自の観念機能を獲得する過程が主因でしょう。人類がいかに脳(本能→共認→観念)に依拠して生存しているかは、体重の2%しかない脳の消費エネルギーが、摂取エネルギーの20%にも達する点からも窺い知ることができます。
 
  List
  この記事は 3909 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_4092
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
「続・人類の拡散」 シリーズ 初期ホモ属〜ヒトはいつからヒトになったのか?〜 「生物史から、自然の摂理を読み解く」 11/02/11 PM06
204233 極限的外圧下での「骨髄食」が二足歩行の可能性を開いた 西谷文宏 09/04/12 PM10
164606 共認機能を源泉とした「単純なリズム」と「繰り返し」=踊り 安藤太地 07/11/02 PM11
164486 二足歩行の弊害 菅野敬子 07/10/31 PM11
161061 生存と絶滅の分かれ目は共認機能 ゲン 07/09/11 PM10
144024 「踊り」の本質 西谷文宏 07/02/03 AM03
128716 弱者の課題共認 阿部佳容子 06/08/21 PM11
125071 ヒトとサルの足の骨格の比較 深紫 06/07/06 PM08
114708 踊りを踊りつづけると精霊を見るのは何でですか? アニマル川口 06/05/19 PM07
100908 アウストラロピテクスが樹上で生活していた?! 走馬灯 05/11/15 PM11
96647 現人類の適応機能は、認識と実現思考 西田美和 05/08/31 PM06
95612 二足歩行への進化 運搬能力の向上説 小暮 勇午 05/08/05 PM10
92508 「人類の進化」に感謝!! 斎藤一浩 05/06/11 PM09
91909 emmjin 匿名希望 05/06/02 PM02
90541 能力開発 黒田裕二 05/05/12 PM01
84245 そこにどんな必然があったのか 佐藤晴彦 05/01/19 PM09
84242 手振り・身振りの必要性 大森義也 05/01/19 PM09
83060 二足歩行は木の上で培われたのか 篠田悟 04/12/23 PM11
82062 人類は究極の障害を克服したサル 志水満 04/12/04 PM00
55074 なぜ犬歯は小さくなったのか? 三輪歩未 03/05/16 AM04
4394 猿人と原人@>岡本さん、野田さん、匿名希望さん 橋口健一 01/05/21 PM11
4142 大脳進化の主要因>岡本さん 浅野雅義 01/05/16 AM00
4101 人類の二足歩行>岡本さん 野田雄二 01/05/14 PM11

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
人類の進化
ヒトは何種類いたのか? 「異種同時共存説」による人類進化
「アフリカ起源説を補強する新証拠で、窮地に陥った多地域進化説」 @
「アフリカ起源説を補強する新証拠で、窮地に陥った多地域進化説」 A
単一起源か?多地域起源か?(その2)
アニミズム(精霊信仰)について
シャーマニズムと幻覚回路
原始人類集団のリーダーは、精霊信仰⇒祭祀を司る女であった
共時一体感覚にささえられる文字による共認 2
不安発の古代宗教と感謝・同化の精霊信仰
ネアンデルタール人は「野蛮」だったか?   人類の生活をどう復元するか
スンダランド海洋航海民の誕生
黒曜石、翡翠の広域に渡る存在は、交易ではなく贈与の結果ではないか@
黒曜石、翡翠の広域に渡る存在は、交易ではなく贈与の結果ではないかA
ポトラッチの実態
捧げものが同類闘争圧力により変質したものがポトラッチ
贈与の意義
採取時代の適応原理
「祭り」の多面性と核心
祭りは共生適応ではなく集団統合(解脱+闘争)共認の場
人類の本性は共同性にある@
人類の本性は共同性にあるA
人類はなぜ大地を耕しはじめたか? 寒冷期と農業の起源
4大文明の多元的・同時発生説
戦争がなくならないのはなんで?:ノート2
原始時代〜部族連合時代〜武力支配時代
武力時代の東洋の共同体質⇒秩序収束⇒規範収束
西洋の自我収束⇒観念収束⇒唯一絶対神信仰
白人の部族移動の歴史
山賊・海賊によってつくられたギリシア・ローマ
戦争の起源
西欧だけが性を罪悪ととらえる文化であるのはなぜかA〜古代ギリシア・ローマに快楽敵視が存在した証拠はない
西欧だけが性を罪悪ととらえる文化であるのはなぜかB〜隠蔽したいローマ帝国崩壊後の空白の200年間

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp