生物の起源と歴史
39790 免疫システムを継承システム・学習システムととらえたらどうか
 
村田貞雄 ( 55 静岡 企画 ) 02/09/11 AM11 【印刷用へ
胎内での成長という生殖・発生機構を始めた「哺乳類」の免疫システムの進化についての試論を興味深く拝見しました。

胎内成長を行う哺乳類の発生過程と免疫システムの基本構造は以下の通りですね。

@細胞という超ミクロなレベルで見ると、母体の細胞タイプはA1タイプ、胎児の細胞タイプはA2タイプ(同じ種に属するので、Aタイプではあるが、厳密には同一ではない)。親子なので、A1とA2は共通性も高く、他人になるに従ってA30タイプとか、距離が離れていくと思ったらいいですね。(輸血の場合に、提供者を家族、親族に求めるのは、細胞タイプが近い可能性が高いからです。)

A免疫システムは、細胞レベルで、Aタイプとは全く違うDタイプ(細菌)とかZタイプ(ウイルス)とかを、敵・異物として認識し排除しようとする防衛機構である。そして、高度に発現するとA1タイプさえ、敵として排除してしまう。
これを、母体と胎児の関係で見ると、母体側から胎児を異物として排除しようとするシステムが稼動している事になりますね。

Bこれでは、胎児は発生していけないので、以下のようなステップを踏みます。
先ず、受精卵は子宮内で、独立して細胞分裂を進める。母体の子宮細胞とは直接繋がっていない(繋がると免疫システムの攻撃を受ける)。発生過程での呼称は「胎胚期」です。
次いで、胎胚の細胞数が飛躍的に増加して、機能分化を始め、胎盤を形成する。この胎盤によって、母体と直接接し、母体からの栄養補給、酸素補給を受けるようになる。(呼称は胎芽期)

この胎盤を形成する段階で、胎児側から母体の免疫システムをブロックする機能が胎盤(母体・胎児間)に形成される。
母体側には免疫機構の組替えとして跳ね返ってくるので、現象的にはツワリという細胞レベルの不全時期となります。

このような発生過程での現実から見ると、確かに胎児側の免疫システムが高度に発現してしまうと、胎児が母体を攻撃する危険があるので、胎児の免疫システムは、原基構造だけを作り込み、具体的な発現は、胎盤から離れる出生後となる。

「免疫系は個体発生後に完成される」の意味ですね。

胎児にとっての出産(胎盤から離れる)は、免疫系だけでなく、呼吸系、栄養系、神経系の全てのシステムを転換させる必要があります。
例えば、呼吸系では「肺呼吸」を直ぐに始めなければなりません。消化器系では、胃から栄養吸収に切替えなければいけません。
多分、神経・脳系でも、本格的な外界認識、神経ネットワークの関係形成、編成固定を本格的にスタートさせ、切り替えているはずです。

ですから、「免疫システムが出産後本格稼動する」「細胞レベルのシステムが、胎内と出産後とでは局面が違う」というのは、当然と言えば当然のような気がします。

それよりは、免疫システムは、敵(細菌・抗原)がいて、それに打ち勝つ事で免疫が固定する。(免疫システムの発現過程がスピードアップして、2度目には簡単に同じ細菌・抗原を排除できる。)
この、対象があって、細胞レベルの戦いがあって、その成果が固定するという「学習機能」が最も重要な事ではないでしょうか。

つまり、免疫システムが先ず立ち向かうのは、その集団内(集団の棲息する自然、動物、植物、そして同種自身)に存在する「細菌」である。免疫システムの学習と高度化は、所属する集団を基盤にしてを進めていくのです。

例えば、母乳の中には、その集団内に棲息する細菌に対して生成した、抗原・抗体機反応の成果物・グロブリン等が含まれている。乳児に母乳を与えることで、この最終武器を受け渡し、乳児側の安全率を高めている。
そして、母乳の免疫成果物が徐々に減って行き、乳児自身の免疫システムの発現、学習が始動する。
(だから、細菌感染による発熱は、乳児・幼児の免疫システムが反応し、学習している事になりますので、抗生物質で外在的に鎮静させることは、免疫機構の発現力を削ぐ危険性があります。)

哺乳類の免疫システムは、胎児・乳児の学習システムとも言えますし、集団・群れとしての経験継承システムとも言えると思います。

 
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