生物学を切開する
36167 哺乳類の哺乳期は『文化』の学習期である
 
村田貞雄 ( 55 静岡 企画 ) 02/07/16 AM01 【印刷用へ

>この外圧に適応すべく形成された個体内部のネットワークは、それ自体を次世代に伝える事は出来ません。しかし、集団を通じて親と同じような環境で生活をする中で、親と同じようにネットワークを形成する事が出来ます。(斎藤幸雄さん)
>文化って人間だけのものなんでしょうか?(長谷川文さん)

上記のネットワークを神経細胞・脳神経系のネットワークとすると、短期記憶、長期記憶という機構を通じて、親と同じネットワークを形成していくと思います。

動物の中で、哺乳類段階は、明らかに、親の世代の内部ネットワーク(神経系の記憶)が子供の世代に受け継がれていくと思います。その意味では、明らかに、哺乳類からは『文化』というものを措定できるのではないでしょうか。

以下は、概論です。

先ず、哺乳類の特徴として幾つかあげます。

肺呼吸でかつ血液の循環を担う心臓構造が、2心房2心室(肺からくる新鮮な血液と静脈の汚れた血液とを完全に分離している)。
恒温維持(鳥類もそうですが)。
神経系・脳が、爬虫類・鳥類に比べても著しく発達し、大脳が大きくなっている。
最後が、子宮内での胎児成長(それも胎盤による成長栄養補給)と出産後の哺乳です。

子供が胎内から生まれてくる『胎生』は、魚にもありますし、爬虫類にもあります。
確かに、子供の発生を胎内で行えば、卵の段階で他の動物に食われる危険は圧倒的に少なくなるので、胎生という適応は、魚類段階から登場します。

哺乳類の特徴は、胎盤を通して、胎児の成長に必要な栄養を妊娠期間中補給します。

継続的な母体と胎児関係の元で、胎児の成長を進めることは、外圧環境の変動に対する適応力が高まったともいえます。母体がおかれる外圧環境が悪化したときは、胎児成長をスローダウンさせたり、止めたりできるのだと思います。胎盤による胎生は、卵胎生より一歩進んだ様式でしょうか。
問題は、出生後の『哺乳』です。

胎生という優れた仕組みを獲得したのですから、十分に成長した胎児を生み、胎児(子供)は直ぐに『本能』発現して、捕食・採餌行動をとっても良いはずです。草食動物では、生まれて直ぐに4肢で立ち上がり、駈けることもできます。草を食べることを何故直ぐに始めないかです。
何故、哺乳期という段階をとるのでしょうか。良く考えて見ると不思議な限りです。
(例えば、卵胎生のマムシの子供は、生まれたら即、自分で餌をとります。親の哺乳は無いのです。)

哺乳期の意味は、哺乳類が単なる『本能』行動だけでなく、哺乳という親への依存期を介して、環境適応の諸条件を学習する(神経ネットワークに刻み込む)段階、学習行動の獲得がその本質ではないかと考えます。

外界に対する対象認識を親と同じ様にする(価値付けて知覚する)、捕餌対象、捕食対象に対する感覚・知覚学習、危機逃避・逃避行動の対象に対する学習、群れでの追随行動での学習等々が、哺乳期から離乳期(自分で餌を獲得するのと、乳から栄養を補給する併用段階)にかけて行われている訳です。

この学習行動が可能な哺乳期を組み込んだことで、爬虫類を凌駕する外圧適応を可能にしたのではないかと。大型爬虫類が絶滅した後に、哺乳類が本格的に適応放散すると、この学習機構が本格的に働きますので、残存した爬虫類がもう勝てなく、もう一度主流にはなれなかったのでしょう。

最後に、哺乳類に関係するサイトを幾つか紹介しておきます。

哺乳類の特徴(胎生)についての解説

哺乳類
リンク
世界史&競馬フリークさんの『理解する世界史』の世界史年表1からです。
リンク

ミミズマンさんの有機農法ホームページ
リンク
のモグラの話
リンク

哺乳類の聴覚機能の高度化の話
京大の霊長類研究所の脳のメニューサイトから『サルとヒトは視覚動物』リンク
視覚機能の獲得のところは、立体視必要説ですが。

 
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36356 哺乳期 匿名希望 02/07/18 PM02
36316 文化というもの 長谷川文 02/07/18 AM00

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